韓国のエネルギー政策というのは、どうも場当たりな印象を受けます。現在の文在寅政権では「クリーンエネルギー政策」を推進していますが、李明博政権では「原発輸出だー」と大号令がかかっていました。
08月01日に(よせばいいのに:筆者の感想です)稼働を始めたUAEの原発はまさに李明博政権の遺産です。しかし、文在寅政権になった途端(間に朴槿恵政権が挟まりますが)、大ブレーキをかけて、原発産業の一角を担ってきたあの「斗山重工業」が傾いたため公的支援をせざるを得なくなるという――端で見ている分には喜劇ですが、実際に関わっている人にとってはたまったものではないでしょう。
韓国メディア『ソウル経済』に「石油公社「来年資本金-5,500億ウォン…完全資本蚕食」という記事が出ました。また、この『韓国石油公社』というのが……。
『韓国石油公社』がお金が枯渇していることを伝えています。一部を以下に引用します。
(前略)
代表的なところは、来年から完全資本蚕食状態に陥ると予想されている『韓国石油公社』である。無分別な海外資源開発に毎年数千億ウォンの利子費用が発生する上、原油価格の急落で大規模な差損が発生したためだ。
石油公社が最近、政府に提出した「2021〜2024年の中長期財務管理計画(暫定)」によると、2019年には6,001億ウォンに達した資本量が今年3,000億ウォン台と半分になると予想された。
来年には、資本金が-5,500億ウォン水準に急減して完全資本蚕食状態に陥ることが懸念されている。
⇒参照・引用元:『ソウル経済』「石油公社「来年資本金-5,500億ウォン…完全資本蚕食」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
この『韓国石油公社』が傾いたのは、記事にもあるとおり、先の政権の「資源確保だーっ」の大号令によって資源開発に走ったためです。それ!とばかりにノウハウもないのにも関わらず、世界各地で資源確保に乗り出し……スカをたくさん引いたのです。
カスピ海で立ち往生になった「ボーリング船」
同記事内で「無分別な開発」と指摘されていますが、それを象徴するようなエピソードがあります。
2016年には『韓国石油公社』のボウリング船がカスピ海で立ち往生の事態になりました。
カザフスタンに10億バレルの石油が埋蔵されている!」と2,160億ウォンを突っ込む
↓
埋蔵量が目論見の10%しかなかったことが分かる
↓
鉱区から撤退決定
↓
カザフスタンの『KMG』に鉱区を55億ウォンで売却小計:2,105億ウォンの大損
ということがありました。
これだけでも「いかがものか」という話ですが、まあ油井を当てるというのは難しいものです。しかし、カザフスタンの鉱区開発のために「ボーリング船」(海底を掘削するための船:1,745億ウォン)を建造していたのです。
このボーリング船が全くのムダになってしまいました。
その上、このボウリング船がカスピ海で稼働していたので、そこから移動ができないという大変に面白い興味深い事態となりました。
カスピ海は「海」とついていますが、その実「世界最大の湖」。遠いカスピ海でにっちもさっちもいかず「金魚鉢の中の金魚だ」などと韓国の議員からもいわれるハメになりました。
このエピソードからも分かるとおり、『韓国石油公社』が傾きましたといわれても、「ああ、そうなるでしょうねぇ」と返すしかないわけです。
※一応、本記事のアイキャッチの写真はカスピ海です。
(柏ケミカル@dcp)