アメリカ合衆国と中国の対立が深まり、読者の皆さんもご存じのとおり、2020年05月29日、これまで行われてきた香港への優遇措置は全て撤廃されるとトランプ大統領によって宣言されています。
「香港製品」は「中国製」と明記せよと要求
この流れに沿って合衆国は、香港から輸出される製品に「Made in HongKong」ではなく「Made in China」と明記せよと要求しています。
ところが、香港政府がこの合衆国の要求に対して抵抗しています。
昨今の世界的「No China」な動きからすると、このような変更は香港製品にとって著しく不利になることは想像に難くありません。消費者は「Made in China」にはネガティブなイメージを持っているからです。
邱騰華(エドワード・ヤウ)商務・経済発展局長は、合衆国通商代表部に今回の規制を撤回するように書簡を送りました。また、WTOに提訴することも検討しています。香港は中国とは別にWTOに加盟しているのです。
「人権問題とは別に考えてくれ」という主張を通そうとしている
また同氏は、
基本法の下で香港は経済と貿易の分野で高度な自治権を享受している
と述べています。
どうやら、人権についての高度な自治は踏みにじったけれども、「貿易においては高度な自治があり、こっちは尊重しろ」という主張のようです。
合衆国が優遇措置を撤廃したのは「香港にはもはや中国から独立した高度な自治は存在しない」と判断したからであって、そこに「人権」についてか「貿易」についてかの区分はありません。
ましてや、合衆国は、中国の望む「一つの中国」として扱ってあげようとしているわけです。何が問題だというのでしょうか。
この件がどのように決着するのかもかなりの見物です。
(吉田ハンチング@dcp)