『韓国銀行』の財政乗数というコアな話。「災害支援金」は1兆⇒2千億の効果しかない!

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好事家の皆さんは必見です。2020年11月24日韓国メディア『ソウル経済』の記事に非常に興味深いポイントがありましたのでご紹介します。韓国政府の財政政策が経済にどのくらいの効果をもたらすのかについて、『韓国銀行』の報告書を引いて紹介しているのです。

記事自体は、先にご紹介した「災害支援金」についてのものなのですが、その災害支援金が経済にどのくらい効くのか、「財政乗数」について触れており見逃せません。

日本の財務省に掲載された記事では森泰二郎先生が、

財政乗数とは、「政府の経済活動(支出・収入)の1単位の変化が、何単位のGDPの変化をもたらすかを表す比率」

と書いていらっしゃいます。

至極簡単にいうと、政府が1兆円の支出を行った場合、GDPは何兆円上がるのよ、みたいなことです。その比率が分かると、これぐらい公共事業をやればGDPが何パーセント上がるよね、と推測できるわけです。

ところが、この財政乗数というのは、幾らになるのか、その時々の経済状況などによっても異なるため、コンセンサスが取れません。経済学者の間でも一致した見解は得られていないのです。

ですので、『韓国銀行』がこれを計算しているというのにも注目ですし、数値はどのくらいなんだと必見なのです。『韓国銀行』の元リポートが見つけられなかったため、誠に申し訳ないのですが、『ソウル経済』に記事から孫引きします。

(前略)
去る8月に出された『韓国銀行』の報告書によると、災害支援金のような政府の移転支出財政乗数0.2~0.33に過ぎず、政府の消費(0.85~0.91)、政府投資(0.64~0.86)と比較しても大幅に低い

つまり、政府が移転支出の形で1兆ウォンの財政を投入してもGDPは2,000億~3,300億ウォン程度の増加にとどまることを意味している。
(後略)

⇒参照・引用元:『ソウル経済』「첫 단추 잘못 끼운 ‘현금살포’…자판기 뽑듯 이어질 판 [3차 재난지원금 불지피는 정치권]」

※「移転支出」とは財やサービスの購入を伴わない、金銭の移転だけが行われる支出のことをいいます

『韓国銀行』の試算によ財政乗数
政府の移転支出:0.2~0.33
政府の消費支出:0.85~0.91
政府の投資支出:0.64~0.86

ですので、同じ1兆ウォンを支出するのなら、災害支援金のような単なるお金の移動である「移転支出」よりも、何か財やサービスを購入することになる支出の方が、「1.9~4.5倍」の効果が見込めるというのです。これは非常に面白い比較です。

先にご紹介したように韓国野党は「3兆6,000億ウォン」規模の「第3次災害支援金」を支給すべし、と頑張っているのですが、さてこの案件、果たして国会で承認されるでしょうか。

⇒参照:『日本国 財務省』公式サイト「シリーズ日本経済を考える79 財政乗数についての諸議論」

(吉田ハンチング@dcp)

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