韓国の公営放送『KBS』は、日本でいえば『NHK』に当たる放送局ですが、こちらもまた左派に支配されています。
左傾化の源流は盧大統領時代にまでさかのぼる
そもそもの左傾化は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代にまでさかのぼります。
2003年04月、盧武鉉政権下で、盧大統領を支援した『ハンギョレ新聞』(左派メディア)論説主幹、鄭淵珠(チョン・ヨンジェ)さんを社長に任命しました。
どうなるかは火を見るよりも明らかでした。
『KBS』は、北朝鮮へ資金を提供する支援も行いました。李相哲先生の著書『北朝鮮がつくった韓国大統領 文在寅』の中にその支援について紹介した部分があります。
誠に恐縮ですが、以下に引用します。
(前略)
鄭社長の下、KBSは社内に南北交流協団(局長級補職)を立ち上げ、北朝鮮との交流事業を積極的に推進した。03年8月には、北朝鮮メディアと合作で「平壌のど自慢」を開催するが、終了後高価な中継車両、装備、機材を「老朽化した」と称して平壌に残したことが問題になったことがあった。また、数十億ウォンを北朝鮮に支払って平壌コンサートを中継したり、北朝鮮に対する支援を惜しまなかった。
KBSの人気番組の一つ「人物現代史」では、平壌に密入国して世界青年学生祝典に参加し、金日成に抱きつくなどして世界を騒がせた林琇卿(イム・スギョン)や、韓国では北朝鮮工作員の疑いがかけられていた在ドイツ韓国人学者、宋斗律(ソン・ドユル)、金日成と親交の深かった音楽家、尹伊桑(ユン・イサン)に対する評価を見直す番組を制作した。
(後略)⇒参照・引用元:『北朝鮮がつくった韓国大統領 文在寅』(文庫版)李相哲,潮書房光人新社,2020年04月24日第一刷,pp37-38
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
盧大統領への国民からの批判が大きくなると、『KBS』は特集番組を制作しますが、その内容は逆に盧大統領を擁護するような内容でした。
公共放送なのに、このようにあからさまに左派に寄った放送局となっていたのです。
マスコミ内部でも敵対勢力をつぶしにかかる
その後、保守派の李明博(イ・ミョンバク)大統領時代に揺り戻しがきますが、左派はしぶとく生き残ります。
2008年02月、李明博大統領が就任してから半年後の08月08日、背任容疑が持ち上がった鄭社長は理事会によって解任動議が出されました。三日後の11日、李大統領が直接鄭社長を解雇します。
ところが、「大統領に『KBS』社長を解雇する権限はない」として裁判が起こるのです。
1999年までの韓国放送公社法では「大統領に任免権がある」とされていたのですが、法改正によって「任命権がある」となっていたのです。
つまり、字義どおりに解釈すれば、李大統領には解雇はできない、ということになります。
実際、2012年02月23日、韓国の大法院(最高裁判所に当たります)は、原告(鄭前社長)勝訴「解雇は無効」の判決を出しています。
しかし、社長の任期は2009年11月に満了となっていたため、鄭さんは『KBS』社長には復帰しませんでした。
李明博大統領が就任してすぐに、左派の社長の解任動議が可決され、大統領が社長を解雇するというのは、韓国内でも「報復だ」との声が上がりました。
つまり、保守派から左派への懲罰人事というわけです。
日本人からすると、左派から保守、保守から左派へと政権が動くたびに、放送局というマスメディアの内部でも「敵対勢力を駆逐するような動き」があることが信じられませんが、これが韓国のメディアにおける現実なのです。
左派だろうが保守派だろうがやることは同じで、自身に有利な報道を得るために、人事を壟(ろう)断してメディアを統制にかかるのです。
朴槿恵(パク・クネ)大統領が辞任させられ、文在寅政権が発足した後に『KBS』で起こったことは、『MBC』と全く同じです。
『全国言論労働組合』の『KBS』本部がストライキに突入。朴政権で理事となった保守派の人たちの退陣要求が出されました。
退任に抵抗する理事には、個人的な脅迫を行い、デモで押しかけ辞任に追い込む。こうして保守派を消して左派が多数派を握りました。
というわけで文政権下で『KBS』は左派のメディアであり続けています。
ちなみに、盧武鉉政権下で『KBS』社長となった鄭淵珠さんは、2021年07月24日、文在寅大統領の委嘱によって、『放送通信審議委員会』の委員長に内定しました。
何をか言わんや、という人事です。
(吉田ハンチング@dcp)