韓国政府は財政難に陥っています。税収が約60兆ウォン足りなかったことが主な原因ですが、足りない分はどこかから持ってこないといけません。
短期借入の場合には、2つの方法があります。
①財政証券を発行する
②『韓国銀行』から借りる
両方とも「短期で借りてスグ返す」のですが、先にご紹介したとおり、②の中央銀行から政府が短借するような国は普通ありません。財政ファイナンスにつながるからです。
①の方は民間の資金調達に影響を及ぼすので褒められたものではありませんが、お金がないのであれば仕方がないところです。
しかし、それでも②よりはマシなのです。
当然の話で、そもそも中央銀行から政府がお金を借りるなんて話はおかしいのです。また大変に体裁の悪い話です。
――で、長期(償還が1年以上のもの)になると国債発行となるわけです。
韓国政府はもちろん国債発行によっても資金を調達しています。
面白い動きがありました。2023年10月19日、韓国の企画財政部は以下のようなプレスリリースを出しているのです。
韓国政府は、10月に実施予定だった「募集方式の非競争買収」方式の国債発行を急遽やめました。プライマリーディーラーのニーズを聞いて、あらかじめ決めた金利で国債を配分するというシステムですが、「需給条件」を鑑みてやめた――としています。
「いらないです」だったものと推測できます(笑)。
※競争式の国債発行は行っていますので注意してください。09月の競争入札式の国債発行は「8兆5,000億ウォン」規模でした。非競争引き受け分を足すと「10兆2,034億ウォン」になるはずです(現時点では推定)。
で、11月には競争入札式の国債発行を「5兆ウォン」規模行うというプレスリリースを出しています。
これによって、韓国政府の01~10月の累計の国債発行額は「154兆5,607億ウォン」になると予想さえます※。
※ただし10月時点の最終発行実績は10月27日(金)に発表される20年物非競争引き受けの結果によって変更される可能性があります。
01~10月で約154.6兆ウォンまで発行されましたが、2023年度に許容される国債発行限度額は「約168兆ウォン」です。
これがシーリング、天井ですので、残り2カ月で約14兆ウォンしか発行できません。
「足りるのか?」という状況になってきました。
もちろんシーリングを解除して「突破してもいいよん」にすればいいのですが、「政府負債をこれ以上積むんじゃないぞ」と『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)や信用格付け会社が注視しているので、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権も安々とその決定はできないでしょう。
詰むや詰まざるや、な状況でしょう。
(吉田ハンチング@dcp)