韓国政府の大本営発表に異議あり! 消費と設備投資が全然駄目

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Money1では、韓国政府の企画財政部が「経済動向」についてのリポートを公表するごとに(一応は)ご紹介しています。最近では「経済が回復している」という論調を続けています。

しかし、実際の数字を見ると、一般国民はお金を借りにくくなっているのに負債は積み上がり、企業も利益を上げることが難しくなっています。不動産企業は青息吐息です。

何度もご紹介しているとおり、韓国は非常な不景気に陥っているのです。


↑輸出額の対前年比増減率を半導体と半導体以外で比較したもの。半導体は+50%など派手な数字ですが……。

韓国政府が景気が回復しているというのは、主に「輸出が増加した」ことを根拠としているのですが、その増加した輸出というのは、半導体の一本足打法によるもので、それ以外の輸出はそこまで派手な回復をしてはいません。

この半導体のみというのが重要なポイントで、韓国では半導体産業というのはそれほど大きな裾野を持ってはいません。素材・部品・装備は、例えば日本企業に頼っており、そこが自動車産業との大きな違いです。

半導体輸出が大きく増加しても、それで『サムスン電子』や『SKハイニックス』がもうかるだけ――では駄目なのです。周辺企業も「景気が良くなってきたな」でなければ。その周辺企業が多くないというのが問題点なのです。

実際、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領自身も、「景気が回復しているのに国民の皆さんがそれを実感できないというのは申し訳ない」――と述べています(2024年08月29日の民生報告)。

これは「景気が良くない」といっているのと同義です。

大本営発表に異議あり!

2024年09月09日、シンクタンク『韓国開発研究院』(略称「KDI」)が「経済動向09月号」を公表したのですが、これが韓国政府の大本営発表に異議を唱える内容です。


↑『KDI』が公表した「経済動向09月号」/スクリーンキャプチャー

この号の摘要を以下に和訳して引用します。

最近の韓国経済は、高い輸出増加率にもかかわらず、高金利基調で内需の回復が遅れ、景気改善が制約されている様相を呈している。
 
ICTを中心に輸出が高い増加傾向を維持しているため、製造業の回復傾向は持続している。
 
– 自動車生産の停滞で製造業関連指標がやや調整されたが、半導体生産が高い水準を維持するなど、製造業の回復傾向は維持されている。
 
しかし、輸出の好調にもかかわらず、小売販売と建設投資の低迷が続くなど、内需の回復は可視化されていない。
 
-高金利基調が続く中、小売販売は不振が続いている。
 
建設投資先行指標の累積的な低迷を考慮すると、当分の間、建設投資および関連雇用も低迷を続け内需回復を制約する可能性がある。
 
-また、個人事業者の延滞率が上昇傾向を続けるなど、債務返済負担も増大している。

⇒参照・引用元:『KDI』公式サイト「経済動向09月号」

上記のとおり、『KDI』は韓国政府の見方を全く支持していません。韓国の皆さんが景気の回復を実感しているなら消費だって伸びるはずです。実はポイントはその内需消費です。

以下をご覧ください。今回のリポートの中にあるグラフです。


↑「民間消費」「設備投資」「建設投資」の対前年同期比増減をプロットしたグラフ。

一目瞭然ですが、「民間消費」は低迷、「設備投資」はマイナス圏に落ち込んだママで、「建設投資」も駄目です。

ひと言でいえば、これは駄目でしょう。

――というわけですから、韓国の景気が回復しているとは到底思えません。半導体輸出だけ伸びても駄目なのですよ。

(吉田ハンチング@dcp)

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