毎日のようにご紹介していますが、韓国ではあらゆる業種でお尻に火がついており、韓国銀行、韓国の国策銀行に対しての「お金を回してくれ!」「貸してくれ!」という声は大きくなるばかりです。
先に韓国産業銀行が「ウチ自身が不良になるかも」とボヤいているという記事を上げましたが、ついに資本増強しないと……という動きが始まりました。
銀行には「自己資本比率」という規制があって、これは銀行をトばさないためのルールです。簡単にいいますと、その銀行の総資産の中に自己資本が何パーセントあるかを示します。
自己資本比率は上掲のように計算しますが、一般に自己資本比率が高いほどその銀行は堅牢です。韓国ではラスボス・BIS(Bank for International Settlementsの略:国際決済銀行)の勧告によって自己資本比率を規制しており、一応「10.5%」を目安としています。
産業銀行は2019年末時点では「13.97%」でセーフだったのですが、今回の「四月危機」によって、あっちからもこっちからも「お金を貸してくれ!」といわれています。
これに応えていくと、貸し付け金が増え、上掲の式でいうと分母が際限なく膨らむことを意味します。つまり、自己資本比率が低下しますから――これをなんとかしないといけないというわけです。
で、韓国メディア『ソウル経済』の2020年04月10日の記事です。
産業銀行は、企業の構造調整に備えて大規模な資本の拡充作業に着手した。
10日、公共機関経営情報公開システムによると、産業銀行理事会は、今年劣後債の発行限度を最大4兆ウォンまで承認した。同理事会は、「新型コロナウイルス感染症(コロナ19)事態等による政策金融支援の拡大に備え、先制的な資本拡充のために年内発行限度を4兆ウォン以内とすることを承認する」と明らかにした。
⇒参照・引用元:『ソウル経済』「構造調整に備える産業銀行…劣後債の発行限度4兆ウォン拡大」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
「劣後債」というのは、利回りがいい代わりに、発行元がトぶなどのことがあった場合には、債権回収の順位は低いですよという債権です。投資したお金が返ってこない可能性が高くなるぶん、利回りはいいわけです。
金融機関が劣後債を発行する場合には、自己資本比率の規制上(制限はありますが)、これを「資本」に計上することができるのです。
つまり、産業銀行は最大4兆ウォンの劣後債を発行することによって資本の増強を行い、貸付金の増大にも自己資本規制に引っかからないようにしようとしています。
ちなみに同記事によれば、定款上産業銀行が発行できる限度額は10兆ウォン。これまでに発行した劣後債は「5兆4,000億ウォン」に上ります。今回決定された「4兆ウォンまで発行可能」というのは限度いっぱいまでという決定です。
これは、今回の「四月危機」が産業銀行をめいっぱいまで追い込むものであることを意味してもいるのです。
(柏ケミカル@dcp)