韓国経済の屋台骨を支えている企業『サムスン電子』といえば、半導体、スマホ、ディスプレーを主力商品としています。しかし、この主力製品のうち、スマホについては近年とみに先行きがあやしくなっているのをご存じでしょうか。
『STARATEGY ANALYSTICS』のリポートによれば、2020年第1四半期の全世界のスマートフォンの出荷数は17%減少。これは新型コロナウイルス騒動のためです。
同リポートによればスマホベンダーのシェアは以下のようになっています。2019年第1四半期と2020年第1四半期の出荷台数の比較です。
スマホベンダー | 2019年第1四半期 | 2020年第1四半期 | 前年比成長率 |
サムスン | 7,180万台 | 5,910万台 | -19% |
Huawei(ファーウェイ) | 5,910万台 | 4,850万台 | -18% |
アップル | 4,310万台 | 3,920万台 | -9% |
Xiaomi(シャオミ) | 2,750万台 | 2,750万台 | 0% |
OPPO | 2,540万台 | 2,260万台 | -11% |
その他 | 1億350万台 | 7,870万台 | -24% |
合計 | 3億3,040万台 | 2億7,480万台 | -17% |
⇒参照・データ引用元:『STARATEGY ANALYSTICS』「Global Smartphone Shipments Fall 17 Percent in Q1 2020」(以下同)
https://www.strategyanalytics.com/strategy-analytics/blogs/devices/smartphones/smart-phones/2020/04/30/global-smartphone-shipments-fall-17-percent-in-q1-2020
次にベンダー別世界シェアの比較です。
スマホベンダー | 2019年第1四半期 | 2020年第1四半期 |
サムスン | 21.7% | 21.2% |
Huawei(ファーウェイ) | 17.9% | 17.6% |
アップル | 13.0% | 14.3% |
Xiaomi(シャオミ) | 8.3% | 10.0% |
OPPO | 7.7% | 8.2% |
その他 | 31.3% | 28.6% |
上掲のとおり、新型コロナウイルス騒動によってスマホの出荷台数は世界で17%下落しているのですが、『サムスン電子』はそれを上回る「19%」の下落となっています。
また、シェアのダウンはかろうじて「0.5%」の下落で済んでいますが、高級ブランドと認知されている『アップル』、低価格機で攻勢をかける中国勢『Xiaomi』『OPPO』は、新型コロナウイルス騒動の最中シェアを上げています。
つまり、『サムスン電子』は高級ブランドとしては『アップル』に優ることはできず、低価格攻勢をかける中国スマホベンダーに猛追されているわけです。いわばサンドイッチ状況なのです。
それは世界市場でも明らかで、巨大な中国市場では『サムスン電子』のシェアは今や1%未満に過ぎず、同じくユーザーの多いインドでもシェア1位を『Xiaomi』に明け渡し、現在は3位まで落ちているのです。
『サムスン電子』にとって明るい話題は、アメリカ合衆国と中国の対立によって中国ベンダーのスマホ販売が制約を受けるかもしれないことです。現在、中国の『Huawei(ファーウェイ)』はCPU、OSなど、スマホを作るためのキーコンポーネントで制約を受け、その影響が出荷台数にも出ています。これがさらに大きな動きになれば、思わぬ漁夫の利を得ることになるかもしれません。
ただし、「合衆国の技術を用いたアイテム」を中国に輸出するな、という合衆国からの締め付けによって、根本からバッサリやられる可能性はあります。
(柏ケミカル@dcp)