投資の世界では「フェアバリュー(fair value)」という言葉がしばしば使われます。このフェアバリューは「公正価格」あるいは「適正価格」と訳されますが、株式やコモディティーなど、投資対象となるものが、ファンダメンタルズ(など)からすれば「本当はどのくらいの価値なのか」を指します。
フェアバリュー「適正価格」を計算して、株価がそれよりも安い場合(アンダーバリュー:under value)は「買い」、高い場合(オーバーバリュー:over value)の場合は「売り」というふうに、売買の判断基準にも使われます。
株式やコモディティーなどの投資対象にはフェアバリューがあって、取引によってそこから乖離(かいり)することはありますが、いずれは「適正」な価格に収斂(しゅうれん)すると考えがあります。
問題なのは、フェアバリューの計算方法にはさまざまな方法があることです。より簡便に計算できる方法としては、以下のようなものが代表的です。
・予想EPS × 予想PER
・予想BPS × 予想PBR
・予想CFPS × 予想PCFR
ただし、これらの計算結果が正確であるためには、企業の収益が正確に予測できなければなりません。これは非常に難しいことです。
※フェアバリューを計算する方法として、他にも以下のようなものがあります。
・配当成長割引モデル
・残余利益モデル
・経済的付加価値(EVA)/市場付加価値(MVA)
・ディスカウントキャッシュフローモデル
フェアバリューは計算方法によって異なりますし、また同じ計算式であっても、例えば将来を予測しなければならないパラメーターが入ってくると、そこをどのように設定するかはアナリストによって異なる、といったことになります。
そのため、『Morningstar(モーニングスター)』『S&P』など計算・発表している機関によってフェアバリューの数値はバラバラです。各機関が公表している数値を平均し、「フェアバリューの平均値」を公表していることもあります。
実のところ、誰にも保証できない「予測」が入り込むので、計算されたフェアバリューが正しいかどうかは、未来になってみないと分からないのですね。
(柏ケミカル@dcp)