2020年10月22日、やっとこさ韓中「通貨スワップ」が延長されたというリリースが『韓国銀行』から出ました。これで2017年には延長契約がなされたことが確認できたわけです。しかし、一方の当事者である『中国人民銀行』はこの契約延長についてリリースを出したのかというと……。
出ました! 2017年のときは「あるのやらないのやら」でしたが今度はきちんと以下のようにリリースが出ています。
中韩双边本币互换协议再次展期
中国と韓国の二国間現地通貨スワップ協定が再び更新された经国务院批准,近日,中国人民银行与韩国银行(中央银行)续签了双边本币互换协议,互换规模由原来的3600亿元人民币/64万亿韩元扩大至4000亿元人民币/70万亿韩元,协议有效期五年,经双方同意可以展期。
国務院(内閣に相当します:筆者注)の承認を得て、『中国人民銀行』と『韓国銀行』(中央銀行)は、二国間現地通貨スワップ協定を更新し、スワップ規模を3,600億元/64兆ウォンから4,000億元/70兆ウォンに拡大した。契約は5年間有効であり、相互の合意により延長することができる。
中韩两国央行续签双边本币互换协议,将对维护金融市场稳定、扩大中韩间本币使用发挥积极作用,同时有助于促进贸易和投资的便利化。(完)
中国と韓国の中央銀行間の二国間現地通貨スワップ協定の更新は、金融市場の安定を維持し、中国と韓国間の現地通貨の使用を拡大する上で積極的な役割を果たし、同時に貿易と投資の円滑化を促進するのに役立つ。(終わり)
⇒参照・引用元:『中国人民銀行』公式サイト「中韩双边本币互换协议再次展期」(原文・中国語/筆者(バカ)意訳)
『中国人民銀行』も「再び更新された」と書いていますので、2017年の契約延長は「あった」わけです。
面白いのは、韓中の「通貨スワップ」について『中国人民銀行』のプレスリリースを当たってみますと、以下のようになることです。
2011年:プレスリリースあり
2014年:プレスリリースなし
2017年:プレスリリースなし
2020年:プレスリリースあり
2020年10月21日現在、「韓国」「通貨スワップ」で出てくるプレスリリースは全部で348件あり、筆者の探し方が足りないのでなければ、上掲のとおりです。
で、そもそも大本となる2008年のリリースは2008年12月12日付けで出されており、
中国人民银行和韩国银行同意建立货币互换安排
『中国人民銀行』と『韓国銀行』は通貨スワップ協定を確立することに合意した
今天,中国人民银行和韩国银行宣布签署一个双边货币互换协议。该互换协议的目的是向两个基本面和运行情况良好的经济体的金融体系提供短期流动性支持,并推动双边贸易发展。该协议与清迈倡议下已有的互换安排相互补充。 该协议提供的流动性支持规模为1800亿元人民币/38万亿韩元。 双方同意探讨将互换货币兑换成储…
本日、『中国人民銀行』と『韓国銀行』は、二国間の通貨スワップ協定の調印を発表した。スワップ契約の目的は、2つの基本的で十分に機能している経済の金融システムに短期的な流動性支援を提供し、二国間貿易の発展を促進することである。この契約は、チェンマイイニシアチブに基づく既存のスワップ契約を補完するものである。協定による流動性支援の規模は、1800億元/38兆ウォン。両当事者は、通貨スワップの検討に合意した…
となっています。
ところが、リンク先のページ「http://www.pbc.gov.cn/huobizhengceersi/214481/214483/214485/2827019/index.html」が見つかりません。なぜかリンクが切れていて見ることができないのです。
また、この「通貨スワップ」契約について以下の2本のプレスリリースが出ています。
中国人民銀行の関係者は、中国と韓国の間の通貨スワップに関する記者の質問に答えます
中国人民银行有关负责人就中日韩三国央行行长会议机制及中韩本币互换等问题答记者问(2008年12月15日)
中国人民銀行の関係者は、中国、日本、韓国の中央銀行総督会議の仕組みや中国と韓国間の通貨スワップについて記者の質問に答えます
ですので、この当時、中国は韓国との「通貨スワップ」締結について非常に重要だと見ていたことが分かります。
しかし、2011年10月26日付けの以下のプレスリリースを最後に、2014年、2017年の延長のプレスリリースが見当たらないのです。今回の延長が2008年から継続されているものであれば、なぜこの2回についてリリースがないのかはぜひ真意を聞きたいところです。
(吉田ハンチング@dcp)