2021年01月02日、中国メディアに興味深い記事が出ました。中国で停電が頻発している件です。石炭は中国本土で高騰しており、例えば河南省安阳市の発電所には5日分しか発電用の石炭がないというのです。
今回の中国での停電は、面子にこだわってオーストラリア産の石炭に輸入制限をかけたために起こっているとされます。では、中国の石炭の輸入量は減少しているのでしょうか? 同記事では「中国共産党国家統計局」のデータを以下のように引いています。
石炭輸入量:2億6,500万トン
10月輸入量:1,373万トン(対前年同月比:45.6%減少)
11月輸入量:1,167万トン(対前年同月比:43.8%減少)
上記のとおり確かに石炭の輸入量は減少しています。
中国の「脱石炭」が裏目に出た!
国内産の石炭で間に合うのでは?と思うかもしれませんが、中国ならではの事情があります。
実はエネルギー関連の事業はもうかるということで、特に石炭の出る地域で石炭採掘企業が乱立。当然、石炭価格が下がって採算割れの企業が続出、という事態となりました。また、石炭火力発電所は大気汚染を引き起こすというので中国共産党政府が、「脱石炭」に舵を切りました(すごい勢いで原発を造っているのはこの指針のためでもあります)。
このような状況もあり、先にご紹介したことがありますが、国有石炭企業『永城煤電控股集団』の社債が11月にデフォルトを起こしています。
で、今回の石炭不足です。オーストラリアからの輸入が減っても大丈夫だ……と思っていたら全然大丈夫じゃなかったのです。
同記事によれば、榆林市(中国陕西省にある石炭の産地として知られる都市)の消息筋からの情報によれば「榆林市に石炭の在庫なし」となっています。
また、榆林市の取引データでは「2020年12月23日以降、榆林地区35の炭坑の石炭価格が、1トン当たり5元から40元まで上昇した」と述べています。なんと「8倍」です。
また、「動力炭のスポット価格:約823元/トン」に達しており、業界ではこれが「1,000元」に到達するかもしれないと予測しているとのこと。
注目すべきは記事の以下の部分です。引用します。
(前略)
「河南安阳発展改革委員会」は12月28日、「安阳市石炭・電気・ガス保安分析報告書」を発表し、安阳市の2つの火力発電所の石炭在庫が警戒態勢を下回っていると述べた。その中で、大唐安阳発電所の石炭の利用可能な在庫が5日未満で、大唐林州発電所の石炭の利用可能な在庫が10日で、在庫の最低警戒ラインを著しく下回っている。
(後略)
今回の停電頻発の原因は、石炭の生産量の読み違い、またエネルギー政策の失敗、輸入制限などにあります。
つまり人災です。
⇒参照・引用元:『阿波罗新闻』「大陆煤价飙涨 安阳一电厂告急库存只够用5天」
(吉田ハンチング@dcp)