Money1でもご紹介しましたが、2023年07月03日、中国の商務部はゲルマニウム・ガリウムの輸出規制を発表しました。
これは明らかに日本を標的にしたものです。中国の金属ゲルマニウム輸出量「合計29純分トン」のうち13%が日本向け、ガリウムの世界需要の44%を日本が占めている(『JOGMEC』資料による)のですから。
※中国はゲルマニウムとガリウムの最大生産国。公式データによると、ゲルマニウム生産量は世界総生産量の60%以上、ガリウムは90%以上を占めています。
この輸出規制によって、2023年08月のゲルマニウム・ガリウムの中国輸出はゼロとなりました。
しかし、これは自国の産業の首を絞める行為でもあります。
レアアースは中国にとっては大事な輸出品目。輸出が減少しており、回復のために躍起になっている現状ですから、なおさらです。
2023年09月21日、商務部の報道官は定例記者ブリーフィングにおいて、記者からの輸出規制の質問について以下のようなやりとりをしています。
『共同通信』記者:
報道によると、08月のガリウムとゲルマニウムの輸出はゼロでした。中国がガリウムとゲルマニウムの輸出規制を始めた08月01日以降、輸出許可を申請した企業がありますか? 輸出許可を取得した企業はありますか? この状況は今後も続くのでしょうか?何亜東:
規制政策が正式に実施されて以来、商務部はガリウムとゲルマニウム関連品目の輸出許可申請を企業から相次いで受けている。現在、法律に基づき、関連企業がデュアルユース品目の輸出許可を取得した規定に沿って、多くの輸出申請を許可している。商務部は引き続き、その他の許可申請についても、法律上の手続きに従って審査し、許可決定を行う予定です。ありがとうございました。
これ以上自分の首を絞めることはできないと考えたのか、それとも他に理由があるのか、商務部の報道官は、輸出許可申請の一部を認めたと発言しています。
ただし油断は禁物です。09月に実際にどのような輸出量になったのかを確認しなければなりません。
問題は、これが規制の撤回ではない――という点です。中国は何をするか分からない国ですから、たとえ規制が一部解禁されようが、日本は中国とデカップリングを進めるのが得策です。
(吉田ハンチング@dcp)