『WeWork』が米市場に迂回上場!孫正義が突っ込んだ1.7兆の行方は?

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ソフトバンクグループ』を率いる孫正義CEOが目をつけ、『ビジョンファンド』が巨額投資を行った『WeWork(ウイワーク)』。2019年には大赤字な業績を露呈して上場を諦めていますが、「SPAC」を利用した上場を行います。

「SPAC」とは? 空箱を上場して中身は後で買う
「SPAC(スパック)」とは「Special Purpose Acquisition Company」の略で、日本語では「特別買収目的会社」と訳されます。企業を買収するために作られるペーパーカンパニーです。事業の中身はありません。そのため「...

SPACについては上記の記事でご紹介しましたが、簡単にいえば「空箱を先に上場しておいて、後で事業を行っている企業を買収する」手法を指します。「迂回上場」ともいわれます。

ナスダックに上場した『BowX Acquisition』(バウX・アクイジション)が『WeWork』と合併することを計画しており、これが成ると『WeWork』は先に失敗した上場ができたことになります。

ちなみに、2021年10月21日に上場した『バウX』の株価は以下のように推移しています(チャートは『Investing.com』より引用)。

ご覧のとおり、下落していた株価は03月26日に急騰しています。これは、合併情報が以下のように『WeWork』から出たためです。

03月26日、『BowX Acquisition』と『WeWork』は合併についての契約を締結。

ちなみに『WeWork』は2010年の創業以来一環して赤字の沼に漬かった会社でした。上場を諦めた19年末時点で、

総売上:18ドル(約1,991億円)
当期純利益:-19億ドル(約-2,101億円)

という大赤字。上掲の『WeWork』のプレスリリースでは、

(前略)
2019年以来、『WeWork』は、強力な経費管理の取り組み、非中核事業の撤退、およびポートフォリオの最適化を含む戦略計画を通じて事業の変革に向けて大きな進歩を遂げ、劇的に改善されたコスト構造に貢献しました。

2020年の間に、『WeWork』は、販売管理費を11億ドル削減し、建物の運営費を4億ドル削減するなどのコスト削減策を通じて、フリーキャッシュフローを16億ドル改善しました。

同社はまた、すべての非中核事業から撤退し、2019年9月のピークから67%の人員を合理化しました。

現在、WeWorkは、大幅な成長が見込まれる中核のフレキシブルスペースビジネスを中心に構築された、より焦点を絞った企業です。
(後略)

と収益構造が改革されたことを強調しています。2021年には「総売上:40億ドル(約4,424億円)/収益15億ドル(約1,659億円)」を見込むとのこと。

さて、どこまで確実なことでしょうか。

また、この合併でできた企業について、以下の点に注目です。

Upon closing, it is expected that the company will have approximately $1.9 billion of cash on the balance sheet and total liquidity of $2.4 billion (assuming no redemptions from the trust account by public investors of BowX), including a $550 million senior secured notes facility to be provided by SoftBank Group.

買収完了時には、バランスシート上に約19億ドルの現金と、『ソフトバンクグループ』が提供する5億5,000万ドルの上位担保付債券ファシリティを含む24億ドルの流動性(BowXの一般投資家による信託口座からの償還がないと仮定)を確保することが見込まれています。

⇒参照・引用元:『WeWork』公式サイト「WeWork to Become Publicly Traded Via SPAC Merger with BowX Acquisition Corp.」

このように『ソフトバンクグループ』ががっつり本件に関与しています。なにせ、『ビジョンファンド』を通じて、最初に「100億ドル(1兆1,059億円)」、追加で「50億ドル(約5,530億円)」も突っ込んでいます。

驚くなかれ、合計「1.7兆円」です。

さて、この合併劇の結果、『WeWork』の業績と株価はどうなるでしょうか? 読者の皆さまもぜひお楽しみに。

(吉田ハンチング@dcp)

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