韓国メディア『ヘラルド経済』に面白い記事が出ました。「サムスンの『新技術』vs TSMCの『歩留まり』…3ナノファウンドリー受注競争」とタイトルからもう面白いのです。
「そりゃ『歩留まり』でしょ」とスグに突っ込みたいところです。
記事から一部を以下に引用してみます。
今年上半期、世界のファウンドリー(半導体委託生産)市場の低迷予想の中でも、『サムスン電子』と『TSMC』間の「3ナノ」受注競争が激しくなっている。
『Qualcomm(クアルコム)』の次期スナップドラゴンの量産をどちらの企業が多く確保するかが最大の変数だ。
『サムスン電子』は3ナノベースのプロセスで「世界初」というタイトルを誇ったが、半年で『TSMC』が量産に突入して追撃に乗り出した。
『サムスン電子』の新技術と『TSMC』の歩留まりという両社の強みで受注対決の結果が判明するものと見られる。
台湾現地マスコミ『ビジネスネクスト』などは、去る03日、報道を通じて『クアルコム』が次世代「スナップドラゴン8 第3世代」生産量の大部分を『TSMC』に発注すると見通した。
高い歩留まりを踏まえた結果だ。
『TSMC』は昨年08月、中国南京で開かれた「2022世界半導体大会」でも3ナノ収率が80%に達すると発表した。
業界では『TSMC』の収率が最低60~80%であると推定している。
『TSMC』より先に3ナノプロセスを開発した『サムスン電子』は、まだ歩留まりを公開していない。
業界は収率面ではTSMCがサムスンより優位であると見ている。
(後略)
「そりゃ歩留まりのいい方を取るよね」なのですが、同記事では『サムスン電子』が新しい「スナップドラゴン」を受注するのではないか?という見通しも紹介しています。
その理由は、「サムスン電子が3ナノ工程に新技術『GAA(ゲートオールラウンド)』方式を適用している」ので「『TSMC』のFin FET方式よりGAAが発熱が少なく、高い性能を保証するため」というのです。
本当にその性能で歩留まり高くチップが量産されたらいいのですが、これについての回答はまだ出ていません。しかし、『クアルコム』としても安定している方に依頼したいのではないでしょうか。
『サムスン電子』の微細工程のファウンドリーでは「歩留まりが問題」とは昨年から指摘されており、例えば中国メディアには「よくて30%なのではないか」といった記事が出たりしました。
真実は不明ですが、『TSMC』に対抗できるほど歩留まりがいいなら『サムスン電子』も発表しているでしょうし、また『クアルコム』や『Apple(アップル)』がこぞって『TSMC』に依頼するということもないでしょう。
『サムスン電子』はファウンドリー事業の技術力で『TSMC』に差を広げられつつあります。
(吉田ハンチング@dcp)