韓国の前文在寅政権は全くひどいもので、まるで現実的でない電力行政を行いました。
文政権の迷走
「2050 カーボンニュートラル」を宣言したのはいいのですが、文在寅さん自身は「脱原発」が公約だったので「原発をできるだけ使わないで2050年にカーボンニュートラルを実現」が、産業通商資源部に丸投げされました。
左派・進歩系のアンポンタンに多いことですが、自分が信じる理念を推進するのに一生懸命でまるで現実を見ません。理念に現実がついてくると考えているのです。
計画立案を丸投げされた産業通商資源部は、まるで実現できない夢物語のような「カーボンニュートラルのためのロードマップ」を出しました。
上掲記事などでご紹介しましたが、専門家・識者からケチョンケチョンに叩かれて批判されたのですが、産業通商資源部は「これは必ずいかなければならない道」と実現可能なのかを無視していると認めるような発言を行いました。
行かなければならないかどうかなど誰も聞いていません。できるか、できないかです。
国の電力インフラについてこのような愚かなプランを推進してきた文政権はやっと終わりました。韓国はすんでのところで助かったといえます。しかし、次を丸投げされた現尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、愚か極まる文政権の決定をいちいちひっくり返さないといけません。
――ここまでが前フリです。
韓国政府が正気を取り戻す
2023年01月12日、産業通商資源部から「『第10次電力需給基本計画(2022~2036)』確定」というプレスリリースが出ました。これが面白いのは、文政権時代のような「うわ言」がすっかり影を潜めたことです。
注目ポイントを以下に和訳してみます。
「新政府エネルギー政策方向」(2022年07月)において提示された
原発積極活用
新再生エネルギーの合理的普及
石炭削減を誘導などの方向を10次電気本で具体化した。
ㅇこれにより、’36年電源別発電量比重は原発・新再生は30%以上に増加し、石炭発電15%以下に減少すると見込まれる。
1.基本方向
□ 10次電気本(2022~2036)は、安定的な電力需給を最優先課題としつつ、経済性・環境性・安全性などを総合的に考慮して電源ミックスを構成し、電力網の補強、電力市場の改編など電力需給の基盤強化を推進する。
(後略)
注目いただきたいのは、「新再生エネルギーの合理的普及」と書いていることです。つまり、文政権が担当した「第8・9次」の電気本は「非合理的だった」と言っているのです。
文政権が後先省みず、太陽光・風力発電施設を乱造したことを批判しているのです。乱造したくせに送電網・変電所などの整備を進めなかったため、せっかく発電した電気が送電網に流れないという事態が今も改善されていません。
上掲のとおり、この第10次電気本で「電力網の補強、電力市場の改編など電力需給の基盤強化を推進する」と書きました。これは完全に文政権の尻拭いに他なりません。
ただただ発電している太陽光発電施設は今も刻一刻と劣化していっています。
今回の文書では以下の部分も味わい深いです。
<第8, 9次電気本>(←文政権が担当:引用者注)
◇脱原発および脱石炭
◇新再生エネルギー中心に転換
(原発↓、石炭↓、再生可能エネルギー↑)<第10次電気本>
◇実現可能でバランスのとれた電源ミックス
◇原発の活用、適正水準の再生エネルギー
(原発↑、石炭↓、新再生可能エネルギー↑)
今回の第10次で「実現可能でバランスのとれた電源ミックス」と書いてあるのが泣かせどころです。前のアンポンタンが作った計画は「実現不可能なものだった」という批判です。
また、「適正水準の再生エネルギー」が書いているのも前政権への批判に他なりません。
韓国政府は鉄骨で頭を打ったかのように正気に戻りました。
日本としては脱原発の方がよかった
韓国としては、政権から「妄想しかしない左派・進歩系の愚かな人々」が去っていったのはよかったでしょう。
ただ、すぐ斜め上の地で信頼できない原発が稼働中というステータスになるので、日本人としては「脱原発」は維持してもらった方が助かったかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)