韓国の『セマウル金庫』に対して懸念が拡大しています。
Money1でも先にご紹介したとおり、融資の延滞率が2023年06月29日時点で6.18%と過去最高に高まっており、不良債権の拡大に耐えられるのか――という懸念があるからです。
また、韓国で心配されている不動産PF(プロジェクト・ファイナンス)について、『セマウル金庫』は「600億ウォン規模の融資債権に問題がある」こと明らかになっています。
さらには『セマウル金庫』が金融監督院ではなく、行政安全部の監督下にあることも懸念の一つです。経験豊富な企画財政部 – 金融委員会ではなく、行政安全部でうまくピンチをコントロールできるのかという疑問です。
行政安全部も懸念を払拭するために動き出しており、「他の金融機関と同様に預金者別5,000万ウォン以下の積立預金はセマウル金庫法により保護される。一部の金庫が近くの金庫と合併しても、顧客の全ての預金は保証される」と強調しています。
この言葉からは「危ない支店は合併するつもり」という意味が読み取れます。また、「5,000万ウォンを超えても合併した金庫で元金と利子を支給する」とも述べています。
↑2023年07月6日、『セマウル金庫』健全性関連関係省庁合同ブリーフィング(行政安全部・企画財政部・金融委員会合同)が開催されました。
このような顧客に安全性をアピールしてはいるのですが、実際の預金者の不安を収めるまでには至っていません。
というのは、預金を引き出そうとい人が「危ないかも」といわれている支店に並んだりしているのです。韓国メディア『』の記事から引用すると以下のような具合です。
政府が「バンクラン」(大量引き出し事態)の兆候が見られる『セマウル金庫』の資金流出を防ぐため、預貯金の元本と利息を保証するという立場を明らかにしたが、各金庫の支店にはお金を引き出そうとする顧客が殺到し、不安感は依然として残っていた。
06日に訪れた京畿道南陽州東部『セマウル金庫』のホピョン支店には、早朝から預けたお金を取り出そうとする住民が集まり、長い列ができていた。
窓口の待機客はあっという間に80人余りに増え、最低2時間以上待たなければ職員との相談ができなかった。
人々はそれぞれスマートフォンを使ってリアルタイムのニュースを見ていたが、ほとんどはセマウル金庫の経営不振に関する記事だった。
(後略)※バンクラン(bank run)は「取り付け騒ぎ」のことです。
⇒参照・引用元:『東亜日報』「“돈 다 잃으면 누가 책임?” 이른 아침 새마을금고에 80명 대기줄」
『東亜日報』ははっきり「バンクラン」と書いていますが、このような情報が出ると、取り付け騒ぎが加速する可能性もあるのでよくありません。
先に『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「もし韓国で『シリコンバレー銀行』のような取り付け騒動が起こったら合衆国の100倍の早さで預金が流出するだろう」と述べたことがあります。
一応、現在のところ「大騒動」までにはなっていませんが、『セマウル金庫』については注視する必要があります。政府の言いようでは、少なくとも「業績のよくない支店の合併」は必至のように見えます。
(柏ケミカル@dcp)