韓国の『国民年金機構』は、その資金力の大きさから、韓国市場ではクジラです。個人投資家の皆さんからは、「国民年金機構が買わないから韓国株が下がるんだ」などと非難されるほどです。
被害妄想がひどい韓国らしい話ですが、『国民年金機構』としては儲かるところに資金を投入しなければなりません。ただでさえ韓国は間もなく積立金がなくなるといわれているのです。
韓国民の年金給付のためにできるだけリターンを得る――というのが機構のミッションです。
先にご紹介したとおり、『国民年金機構』はポートフォリオをいかに組むかをある程度公表しています。「◯年度は、国内市場に◯%、外国市場に◯%」といった程度ですが、一応コンセンサスを得るためです。
傑作なのは、そのたび一部国内で非難の声が上がることです。
『ソウル経済』の取材によると、2024年05月31日、国民年金基金運用委員会は「2025~2029年中期資産配分」を議論したのですが、「今後は国内株式投資をまったくせず、代わりに海外株式・債券投資と国内債券などで年金基金を分散投資する方が良い」という結論を共有した――というのです。
韓国個人投資家の皆さんが発狂するかもしれないような意見ですが、これは「最近の収益率とボラティリティーを考慮した結果」とのこと。韓国株式市場は収益率が低い割に変動幅が大きく、下手すると大損する可能性もあるので、個人投資家が泣こうが喚こうが、正しい選択です。
実際、2024年第1四半期の利回りを比較すると、
『国民年金機構』投資利回り
韓国内株式市場:5.53%
海外株式市場:13.45%
でお話になりません。
『ソウル経済』によれば、『国民年金機構』は、これからの韓国株式市場に対する投資比率を、
2024年:15.4%(169.4兆ウォン)
2025年:14.9%(163.9兆ウォン)
2029年:13.0%(143.0兆ウォン)
と減じていく予定とのこと。5年後には投入資金が26.4兆ウォン減るわけです。
クジラが資金を絞るつもりですので、これは韓国株式市場にとっては痛手です。しかし、仕方ありません。
お金は「より増えるところ」に移動するのです。
(吉田ハンチング@dcp)