中国が外国に過剰生産性を輸出しており、外国市場・外国企業を食い荒らす原因となっています。イナゴのようなものです。
韓国はこれの割りを喰っており、鉄鋼業では最大手『POSCO(ポスコ)』はじめ各社の業績が傾いています。
韓国政府は中国産鉄鋼を遮断した方がいいのですが――さあ、どうするのか?――でした。
2025年02月20日、産業通商資源部貿易委員会は「第457次貿易委員会」を開催。『現代製鉄』が提訴した「中国産炭素鋼およびその他の合金鋼熱間圧延厚板製品」に対する関税賦課について協議しました。
この「その他の合金鋼熱間圧延厚板製品」には日本も含まれています。
韓国メディアでは「大幅な関税賦課が決定された」という報道をすでに出しています。例えば、『ソウル経済』の記事では以下のように書いています。
(前略)
産業通商資源部貿易委員会は20日、第457回貿易委員会を開き、『現代製鉄』が提訴した「中国産炭素鋼およびその他の合金鋼熱間圧延厚板製品」に対して27.91~38.02%の暫定関税を課すと明らかにした。『現代製鉄』は昨年07月、中国産鋼板が25.89%安く(ダンピング率)入ってきて国内企業に被害を与えていると反ダンピング調査を要請しており、今回の暫定関税はダンピング率より高く設定された。
政府が中国メーカーの低価格製品の押し売り攻勢が及ぼす影響が深刻だと判断したものとみられる。
国内産業界では一喜一憂している。
『現代製鉄』と『ポスコ』などは、ひとまず安堵のため息をついている一方、中国産厚板を活用して原価を抑えてきた造船業界には非常事態が発生した。
造船業界の関係者は「中国が過剰な相殺関税の賦課を口実に報復関税を課す可能性もある」と指摘した。
(後略)
『ソウル経済』は「産業通商資源部貿易委員会が27.91~38.02%の暫定関税を課すと明らかにした」と書いているのですが――実は、このような報道に対して、産業通商資源部は「まだ決まってません」という釈明のプレスリリースを出しています。
以下をご覧ください。
2025年02月19日、『ヘラルド経済』の報道
「政府、日中の熱延鋼板に対する反ダンピング調査開始…鉄鋼貿易戦争が本格化」 という記事において、『ヘラルド経済』は 「19日、政府および業界関係者によると、産業通商資源部の貿易委員会は調査開始の方針を決定し、対象企業に通知したことが確認された」 と報じました。
<<政府の立場>>
上記の件に関し、調査開始の可否については現在検討中であり、まだ決定された事実はないことをお知らせいたします。⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「(설명자료)일본 및 중국산 열연강판 반덤핑조사 개시 여부 관련 아직 결정된 바 없습니다」
一応、産業通商資源部では「まだ何も決まっていない」としていますが、中国産の厚板が韓国市場を食い荒らさないように止めないといけません。
なにせ鉄鋼企業が傾いています。
しかし、これを関税賦課で止めようとするなら、中国も黙っていないでしょう。『RCEP』はどうなってんだ――と文句を言い、また報復関税をかけるのも予想されます。
さらには、低価格な厚板を当て込んでいた造船企業も「中国産の厚板の価格が上がった」「入ってこない」――となると、困ります。韓国の造船業は、ただでさえ(安値で受注してくるので)利益が出ないのです。
あっちを立てればこっちが立たずで、韓国は困ったことになりました。
(吉田ハンチング@dcp)