「正直だなぁ」という話です。
Money1でも繰り返し韓国文在寅大統領が主導している「クリーンエネルギー政策」、また「2050カーボンニュートラル」シナリオがいかに無茶なものかをご紹介してきました。
誰がどう見ても実現不可能な無茶苦茶なシナリオになるのは、そもそも「脱原発」が前提になっているからです。
ぼちぼち世界中で無茶な二酸化炭素削減に反対する声が上がっています。また、むしろ原発ありきと考える方が多いのです(原発はいいという話ではありません)。
COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)からのトンズラを決めた(とされる)習近平総書記率いる中国など猛烈な勢いで原発を建設しています。
韓国では文大統領が「脱原発」を公約に当選したため、現政権下では原発に積極的な役割を果たさせることはできないのです。だからといって経済的な合理性を無視したカーボンニュートラルシナリオを進められても困るわけですが。
国会監査で「ど直球」を逆らわずきれいにセンター方向へ打ち返す
つまり、韓国は理想の旗印と現実との間で板挟みになっている、というわけです。
この韓国の窮地を現すような一幕が、韓国の国政監査で見られました。
2021年10月21日、『韓国電力公社』の下で原子力発電所の運用を任されている『韓国水力原子力発電』の鄭載勲(チョン・ジェフン)社長が国会監査の場に立ったのです。
野党議員は、鄭社長に対して「原発がなくてカーボンニュートラルは可能か?」とド真ん中ストーレートの直球を投げました。
鄭社長は「できません」と答えました。
ほら、やっぱり不可能じゃん――という話です。
鄭社長は、
「カーボンニュートラルのために小型モジュール原子炉が必要だという意見を(すでに)政府には提示した」
「工事が中断された新ハヌル3・4号機の建設が再開されることを望む」
とも述べています。つまり、これからも原発を建設しないといけない、と言っているのです。
もちろん、鄭社長は原子力発電所を担当する会社の社長ですので、ポジショントークな面もあるでしょう。しかし、発電現場を預かる責任者が言っていることは重く受けとめるべきです。
ちなみに、「小型モジュール原子炉」というのは、韓国が独自に開発したといっている次代の原子炉。これを用いて原子力潜水艦が造れるだろう、などという背筋が寒くなるような意見もあります。
さらにちなみに、新ハヌル原発3・4号機が予定どおり2024年に完成、稼働すれば、2030年までに二酸化炭素を33%も減らす効果がある――と国会立法調査処は試算しています。
それでも文大統領は「2050カーボンニュートラル」の道を行くのでしょう。
でも、その道は実際に歩くことはできない幻の道なのです。
(吉田ハンチング@dcp)