現在の政府与党である『共に民主党』の支持者が「検察改革をやり抜け」「メディア規制法を成立させろ」とデモを開催しています。
「検察改革をやり抜け」というのは、04月09日にご紹介した「検察から捜査権を完全に剥奪する法案」(改正刑事法)を通過させろという主張です。
「メディア規制法案」(言論仲裁および被害救済などに関する改正案)の方は、現在棚上げになっていますが、文在寅政権のうちにこれも通過させろ、というのです。
検察とメディアの力を削ごうとしている
簡単にいえば、改正刑事法案は「検察庁を起訴権しか持たない組織にして骨抜きにしようという法律」、言論仲裁および被害救済などに関する改正案は「罰則を厳重にし、政府を批判させないようメディアの口を塞ごうとする法律」です。
後者については、時間がたってしまったので「忘れた」という方もいらっしゃるかもしれません。
紙媒体、インターネット上など形態を問わず、メディアの報道によって被害を被ったら、「言論仲裁委員会」に訴えることができ、この委員会の裁定によって被害の賠償を受けられる――という建て付けの法律です。
日本では「メディアによって被害を受けたとする金額の5倍までメディアに支払わせることができる」という、その厳罰化の内容が批判されています。
それも問題ですが、しかし最もマズイのは政府が恣意的に報道を管理できる点にあります。
裁定の権限を持つ「言論仲裁委員会」の委員(40人以上90人以内)は、「文化体育観光部長官が委嘱する」となっています。つまり、人事権について政府が握っていると見なければなりません。長官の任命権は最終的には大統領にあります。
ですから、韓国政府(そして大統領)は「言論仲裁委員会」の委員を誰にするかで、マスコミの報道を罰することができるのです。
これは、言論の自由を阻む法律なのです。
韓国メディアが働きかけたため、世界的にこの法案には非難が集まりました。そのため、『共に民主党』は圧倒的な議席数を持ちながら国会本会議にかけることはできませんでした(委員会では強行採決を行った)。
さすがに「先進国では類を見ない悪法」とまで呼ばれた法律を国会本会議で強行採決することはできなかったのです。
なぜ強行に悪法を成立させようとするのか?
文在寅大統領の任期終了まで30日となっていますが、なぜこのような悪法2つを強硬に通過させようとしているのでしょうか?
まさに「文在寅大統領のうちに」というタイムリミットがあるためです。
韓国の大統領には「拒否権」があって、法案を拒否できるのです。
つまり、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが大統領になる05月10日以降は、尹大統領によって拒否権が発動される可能性がある、だから今のうちの通せ――というわけです。
本日以降、『共に民主党』がどのように動くのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)