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『S&P』がロシア格付けを「選択的デフォルト」に下げる。だから「テクニカル・デフォルト」だってば

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「だからテクニカル・デフォルトだってば」という件です。

『Reuters(ロイター)』『タス通信』など外信によれば、2022年04月08日、世界的格付け会社『S&P』は、外貨建てロシア国債の格付けを「SD」(選択的デフォルト)に格下げしました。

⇒参照:『Reuters』「S&Pはロシアの外貨格付けを『選択的デフォルト』に引き下げる」

⇒参照:『タス通信』「S&Pはロシアの外貨格付けをSDに引き下げる」

⇒参照:引用元:『S&P』「スタンダード&プアーズ金融機関格付けの概要」

「30日の猶予が設けられている」からデフォルトではない、という方がいらっしゃいます。つまり、30日以内にドル建てで支払うのではないか――という希望があるというわけです。

しかし、Money1でもご紹介した「ロシア財務相が2022年04月06日に出したプレスリリース」を見てください。

(前略)
2022年04月04日、財務省は、2022年03月05日付大統領令第95号に従い、上記債務証券の全保有者との決済のため、預託先顧客に対し、ロシア連邦銀行の公式為替レートによる2022年04月04日時点のロシア連邦通貨で上記決済を行うため、NCO JSC National Settlement Depositoryに送金を行った。

これにより、「ロシア-2022」および「ロシア-2042」債に関する前述の債務が全額履行されたことになります。

「ルーブルで支払っても債務返済を履行したことにする」という無茶苦茶な法律:筆者注

⇒参照:引用元:『ロシア財務省』公式サイト

外貨建て債券の元利払いをルーブルで支払ってもいい――という国内法を根拠にルーブルで支払ったと述べ、「これで債務返済は全部履行された」と明確に述べています。

ですから、ロシアが猶予期間30日の間に「(再度)ドルで支払いを行う」ということは考えられません。

そのため、これは「テクニカル・デフォルト」(支払い能力はあるのに債務不履行となること)と考える以外にありません。

そもそも……デフォルトかどうかは格付け会社が決定するといわれますが、「ドル建て債券の元利払いを自国通貨で支払う」なんて話を認めることはできない(はず)です。

契約書にそんな条項が入っていないのはもちろんですが、そんなことを認めたら、例えば「ドル建ての韓国債」の元利支払いをウォンで行ってもいいことになります。

格付け会社がそのような勝手を認めるのでしょうか?

(吉田ハンチング@dcp)

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