韓国メディアは日本が円安でひどい目に遭っているという話が大変にお好きなご様子。
2022年09月19日、『ソウル経済』に「経済大国日本の墜落…『30年前のレベルに戻る』」という記事が出ました。
以下に記事から一部を引用してみます。元ネタは日本『日本経済新聞』です。
日本『日本経済新聞』(日経)は、経済協力開発機構(OECD)が出した今年の日本の名目GDP展望値である553兆円を1ドル=140円の為替レートを基準に換算した結果、約3兆9,500億ドルと見込まれる、と19日に報道した。
日本の名目GDPが4兆ドルを下回るのは1992年以来30年ぶりだ。日経は「ドルに換算した日本経済が1990年代のバブル経済崩壊直後に戻ったという意味」と説明した。
(中略)
平均賃金も1ドル=140円の為替レートを基準にすると、年3万ドルに下がる。
日経は「日本の平均賃金が30年前の水準に戻る」とし「外国人労働者が日本で働く魅力が落ち、今年の対ドルの下落率は円が韓国ウォンを上回り、ドル建ての平均賃金は韓国とほぼ並ぶ」と指摘した。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「経済大国日本の墜落…『30年前のレベルに戻る』」
『ソウル経済』はどこかうれしそうに報じていますが、これはドル建てにしたら……という話に過ぎません。
円安が急進したのでドル建てにした場合、金額が小さくなって当然です。
「ドル建ての平均賃金は韓国とほぼ並ぶ」と書いています(元の日経の記事でも書いてあります)が、日本人は日本国内でドルを使って生活しているわけではありません。日本円を使って生活しているのであって、ドル建てで計算して減ったように見えても何が問題でしょう。
25万円が10万円になるわけではないのです。
まるで日本人の所得が韓国水準まで下がったみたいな書き方ですが、全くそういうことではないのです。
また、円安なのでドル建てにすると給与が下がり、労働市場で競争力を失い、日本に労働者が入ってこなくなる、と書いていますが、それがどうしたというのでしょうか。
日本人の労働者にきちんとお金を払えばいいだけの話です。
日本の法定賃金よりも安く働いてくれる海外労働者募集!という方がおかしい――そういう見方だってできるのですから。
あと、韓国の皆さんは重要なことを忘れています。
だから韓国のGDPも墜落するんだってば
韓国のウォンは(円を除けば)対ドルで最も安値進行している通貨の一つに数えられるのです。
ですから、日本がドル換算でGDPの額が墜落するのなら――韓国のドル換算GDPも墜落するのです。
論より証拠、以下の『Bloomberg』の各通貨の対ドルレート比較をご覧ください(韓国の皆さんを安心させないように日本は除いてあります)。
↑いつものドルウォンチャートと同じで、チャートを上にいけばいくほど安値進行していることを示します。一番安くなっているのがオレンジのウォンです。ウォン:17.4479%安
台湾ドル:13.1607%安
人民元:8.4445%安
インドルピー:7.9889%安
インドネシアルピー:5.1815%安
(中国のせいで)地政学的リスクが異常に高まっている台湾ドルより安くなっているというのはいかがなものでしょうか。
世界最大の債権国である日本のハードカレンシー「円」とウォンでは、比べるのも気の毒ですが、ウォンは絶賛安値進行中なので、ドル建てにすると韓国のGDPも下がるのです。
「日本が下がった」などと喜ぶ話なのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)