お金をじゃぶじゃぶ撒いても経済が上向かない中国。それでも、とにかくお金じゃぶじゃぶ状態を続けないといけません。
しかし、2024年03月15日、『中国人民銀行』はMLF(1年物中期貸出制度)を通じて、実に1年4カ月ぶりに金融市場から資金を吸収しました※。これは実に不思議な動きです。
03月05日に開催された「全国人民代表大会」(全人代)では、李強首相が2024年のGDP成長率は5%程度とし、世界的に「どうやって?」など懐疑的な目が向けられました。
その異論を払拭するように、06日には『中国人民銀行』の潘功勝総裁、『国家発展委員会』の鄭柵潔主任、藍仏安財政相、王文濤商務相、『証券監督管理委員会』の呉清主席が出席する記者会見が開催されました。中国経済の司令塔がそろうという異例な記者会見でした。
この席上、潘功勝『中国人民銀行』総裁は「預金準備率を引き下げる余地が残されている」と発言。『国家発展委員会』の鄭柵潔主任は、「2024年に1兆元(約21兆円)の超長期特別国債を発行するという計画は、投資と消費を促進する」と述べました。
これらは「流動性を増す用意がある」という発言に他なりません。
つまり、「2024年のGDP成長率5%を達成するために、引き続きお金じゃぶじゃぶを続ける」というわけです。
ところが、この9日後の15日、資金吸収が明らかになったのです。
一部では「中国の金融当局が余剰資金の吸収に動き始めたサイン」という見方が出ていますが、現在でさえあっぷあっぷな経済を少しでも上向かせるためには、お金をまかないと仕方がないはずです(ほとんど効きませんけれども)。
これから潘功勝『中国人民銀行』総裁が述べたとおり、預金準備率を下げるなら、お金をまく方向なので、ますます資金吸収は不思議です。
『Bloomberg』は「景気押し上げに向けた金融政策の活用で慎重なアプローチを続け、人民元相場を下支えする用意があることを示唆している」と書いているのですが。
(吉田ハンチング@dcp)