日本ではあまり大きく報じられませんが、09月14日に中国共産党の習近平総書記、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、ウルズラ・ゲルトルート・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、シャルル・ミシェル欧州理事会議長がビデオ会議を行いました。
↑では中国の国営メディア『人民日報』でどのように伝えられたのかをご紹介しましたが、台湾メディア『Taiwan News』にこのビデオサミットについての記事が出ました。
『人民日報』ではおくびにも出さなかった「人権」についての激しい議論があったと伝えています。以下に一部を引用します。
EUのリーダーと習近平中国書記長が月曜日(9月14日)に仮想サミットを開催し、貿易と人権問題に触れました。
『Euronews』によれば、ミシェル欧州理事会議長、ライエン欧州委員会委員長、ドイツのメルケル首相、および習氏は、年末までに投資協定交渉をスピードアップすることを約束して会議を終えた。
ライエン委員長は、会議を「率直でオープン…建設的で激しいものだった」と説明しました。
ミシェルは、会議は4つのトピックに焦点を合わせたと言いました。貿易問題、気候変動、人権、そしてコロナウイルスのパンデミックです。
(後略)
⇒参照・引用元:『Taiwan News』「EU、仮想サミットで中国に貿易と人権を要求」(原文・英語/筆者(バカ)意訳)
「貿易問題」「気候変動」はともかく、後ろの二つ「人権」「コロナウイルスのパンデミック」については習さんも触れてほしくはなかったでしょうね。
興味深いのは以下の部分です。
(前略)
ライエン委員長は、貿易、気候変動、デジタルという問題となっている部分では「(中国の)政治レベルでの関与」が増えているとしながらも、「まだ多くの課題が残されている」と指摘した。通信、IT、バイオテクノロジー、ヘルスケアの各分野で中国市場へのアクセスが十分に行えないことを挙げ、「私たちの投資家は、これらの重要な分野であまりにも多くの障壁に直面している」とした。
(中略)
人権問題について、香港の国家安全保障法や新疆やチベットの少数民族の扱いについてEU代表が懸念を表明したことで、ミシェル議長と習氏の間で「かなり激しい議論」があったと『France 24』は報じている。
メルケル首相によると、習氏は外国人外交官の新疆訪問を認めることを申し出たが、詳細については調整が必要とのこと。
(後略)
習総書記は先の記事でご紹介したとおり「4つの維持」を求めましたが、EUからは特に「人権問題」についてかなり強烈に突っ込まれたようです。
しかし、ドイツ・EUにとって中国市場が必要なことは確かで、内心では中国とあまりもめたくはないでしょう。どのようにバランスを取って中国と付き合うのかは大きな問題です。
(吉田ハンチング@dcp)