LTCM(Long-Term Capital Management:ロングターム・キャピタル・マネジメント)というヘッジファンドがかつてありました。ノーベル経済学賞を受賞した学者までがその名を連ねたので「ドリームチーム」といわれ、巨額の資金を集めたのですが、結局1998年に(実質)破綻。金融市場を大混乱に陥れました。
LTCMがどのくらいの資金をすったのかを見てみましょう。LTCMの目論見は、ロシアがモラトリアム(対外債務の決済猶予)を発表し、世界同時株安が起こってから大きく狂い始めます。
1998年
●08月17日
ロシアがモラトリアムを発表
●08月20日
世界同時株安
●08月21日
LTCMの損失額:5億5,300万ドル
●09月10日
LTCMの損失額:1億4,500万ドル
●09月11日
LTCMの損失額:1億2,000万ドル
●09月14日
LTCMの損失額:5,500万ドル
●09月15日
LTCMの損失額:8,700万ドル
●09月16日
LTCMの損失額:1億2,200万ドル
●09月18日
LTCMの損失額:1億2,000万ドル
●09月21日
LTCMの損失額:5億5,300万ドル
●09月22日
LTCMの損失額:1億5,200万ドル
09月10日の「1億4,500万ドル」の損失を出した段階で、LTCMは「自己資金が20億ドルを切り、決済資金も5億ドルを割り込む」という事態に陥っていました。このように巨額の損失を出し続けたLTCMは09月28日の決済日の資金を用意できない事態となり実質破綻、NY連銀が主導する銀行団の救済案を受け入れ延命を許されました。
09月28日、銀行団は金融システムの信用のためにLTCMに36億5,000万ドルの振り込みを行い、この振り込みのためにFRBは送金システムの時間延長までしたのです。LTCMは2000年初めに36億5,000万ドルを完済し、ファンドを精算しました。
(柏ケミカル@dcp)