貿易戦争が激化の様相を見せており、投資家にとっては「うんざり」な相場ですが、06月20日EUは「鉄鋼・アルミニウムへの追加関税賦課」に対する報復措置の第一弾を発表しました。
アメリカからの輸入品28億ユーロ相当に対して25%の関税をかけることを承認。21日に公告、22日に施行するという早業です。
日本もターゲットになっていますが、この鉄鋼・アルミニウムへの追加関税賦課は『通商拡大法』の第232条を法的根拠としています。先にMoney1でもお伝えしましたが、これは「合衆国に対する安全保障上の脅威だと判断される場合において、大統領は制裁措置を取れる」ことを定めたものです。
EU、日本などが「なぜ我々のような同盟国が輸出する製品がアメリカの安全保障上の脅威になるのか」と反発しているのは至極当然のことです。アメリカ国内向けの人気取りのために関税賦課を決め、その理屈を無理矢理ひねり出すために、『通商拡大法』を持ち出しているのです(第232条については過去記事を参照してください)。
対して、現在中国と揉めに揉めている追加関税賦課の根拠としているのはいわゆる「スーパー301条」。これは『通商法』の第301条。国際貿易協定に違反しており、不当で差別的な貿易に対して、報復を含むあらゆる措置を取ることを許可するものです。
USTR(Office of the United States Trade Representativeの略:アメリカ通商代表部)は不公正な貿易慣行を持つ国、過剰な関税障壁を持つ国を特定し、その撤廃を求めて交渉を行います。交渉が不調に終わった場合には報復措置を取るのです。中国はこちらに基づいて揉めています。
企業が所有している知的財産をよこせなどと、平然と恫喝する国ですから、これは制裁を受けても仕方ないでしょう。日本としてももっとやれ!といったところです。
(柏ケミカル@dcp)