短信です。誠に申し訳ありません。
2022年08月11日、韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官(外務大臣に相当)が『The Washington Times(ワシントン・タイムズ)』代表団と面談を行いました。
外交部のプレスリリースでは、「ワシントンDC地域の有力日刊紙」と書いていますが、この『ワシントン・タイムズ』は、日本でも話題になっている「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)系の日刊紙です。
以下は外交部が出したプレスリリースです。
朴振(パク・ジン)外交部長官は08月11日(木)午後、アメリカ合衆国の『ワシントン・タイムズ』紙代表団と会い、
●朝鮮半島問題、
●米韓同盟の発展などについて意見を交換した。
※ワシントンタイムズはワシントンDC地域有力日刊紙
□朴長官は、韓国政府が堅固な米韓関係を基に実行力を強化し、強力な連合体態勢を堅持していくと共に、北朝鮮核問題の平和的・外交的解決のための対話の道を常に開いていると説明。
朝鮮半島問題に格別の関心を持っている『ワシントンタイムズ』代表団が、合衆国内でこうした韓国政府の努力に対する関心と理解を高めるのに多くの役割を果たしてくれることを要請した。
また、朴長官は、軍事安全保障同盟から始まった米韓同盟が、今や経済安全保障、先端技術協力などを包括するグローバル包括的戦略同盟に生まれ変わっているとし、こうした米韓同盟の発展についても『ワシントン・タイムズ』代表団が関心を持って支持してほしいと要請した。
□『ワシントン・タイムズ』代表団は、米韓同盟に対する強力な支持を表明し、米韓同盟の発展と朝鮮半島の問題解決に引き続き関心を持って支援していくと述べた。
このプレスリリースの摘要だけでは、北朝鮮の核問題を解決するために米韓同盟が重要で、韓国は米韓同盟の強化に努めている。そのことを合衆国でも広めてください――とメディアに依頼した、と見えます。
しかし、宣伝・告知を頼むだけなら、なぜ、朴振(パク・ジン)長官がわざわざ会わなければならないのかが非常に不思議です。
実は、今回のこの会談で注目いただきたいのは、代表団としてやってきたメンバーです。
非常にきな臭い方々が訪韓し、朴振(パク・ジン)長官と会っています。
Joseph DeTrani 前六カ国協議特使
アメリカ合衆国・国務省で北朝鮮の核問題について行われたかつての「六カ国協議」で特使を務めた人物。空軍勤務の後、1974年にCIA(中央情報局)分析官となり、東アジア作戦本部長、欧州作戦本部長、技術支援部長、広報部長、長官特別補佐官などを歴任。
Beth Van Duyne 連邦下院議員
テキサス州選出の共和党の下院議員。
Walter Sharp 前駐韓米軍司令官
2008年から2011年まで在韓米軍司令官を務めた。それだけではなく、日高義樹先生の著作『帝国の終焉 「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ』によれば「米韓軍の対北朝鮮作戦計画『5029』※の策定に関わった人物」。
Andrew Kim 前CIA韓国センター長
김성현 (キム・ソンヒョン)。CIAの韓国系アメリカ人の諜報部員として知られ、CIAでのキャリアは、モスクワ、北京、バンコクで勤務。その後、韓国センター長。韓国の平昌市の出身で、韓国の情報機関『国家情報院』院長を務めた徐薫(ソ・フン)さんと同じソウル高校の出身。韓国語、日本語、北京語が話せるとのこと。
Alexandre Mansourov ジョージタウン大学兼任副教授
朝鮮半島に焦点を当てた北東アジアの安全保障、政治、経済の専門家。コロンビア大学で政治学の学士号、ロシア・モスクワにあるモスクワ国際関係研究所 (MGIMO) で国際関係の学士号、北朝鮮・平壌の国立金日成大学で韓国研究の上級卒業証書を取得したエキスパート。
いかがでしょうか。Duyne下院議員はともかく、非常にきな臭いメンバーだと思われませんか。
そもそも『ワシントン・タイムズ』自体を創刊したのは朴普煕という人物ですが、朴普煕さんは元陸軍の諜報畑にいた人です。
以下の記事でもご紹介しましたが、フレイザーリポートによれば「後にこれらの将校は全て1961年以降の韓国政府との重要なコネクションを提供することになる」と書かれた4人のうちの1人です。
もともと「統一教会」は、反共という姿勢において歴代の韓国政府、日本政府とも太いパイプを持ってきた団体です。情報機関とのつながりもあります。
その統一教会系の米国メディアがこのようなメンバーを連れて、保守派寄りの尹錫悦(ユン・ソギョル)政権の外相と面談を行いました。
何かが動き出しているような気がしないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)