韓国はいわゆる「Chip4」への加入について明確な態度を見せていません。
かといって、アメリカ合衆国・日本・台湾によって独自にサプライチェーンを築かれ、そこから中国と一緒に蹴り出されるわけにはいきません。
韓国を脅かす中国の影
韓国がいくら半導体強国と誇っても、それはメモリー半導体に限った話であって、素材・装備・部品については日本などに依存していますし、これが途切れると半導体の製造ができません。
また、製造技術、微細工程とファウンドリーについては台湾に水を開けられつつあります。さらに、基礎的な部分の特許やシステム半導体については合衆国の足元にも及びません。
注意しなければならないのは、包囲下に置かれる中国の動きです。
もうすっかり皆さん忘れているかもしれませんが、中国はもともと「中国製造2025」(英語表記では「Made in China 2025」)という計画を持っていました。
「中国製造2025」は、2015年05月19日、中国の国務院から正式に国家目標として公表(発行)されました。
簡単にいえば、アメリカ・ドイツ・日本など先進国の製造技術に追いつき、追い越すために策定されれ、2016-2025年の10年間で(10年以内に)「製造大国の仲間入り」することを目指したものです。
この流れで半導体についても野心的な目標が掲げられていました。
2025年に半導体自給率70%
に引き上げるというのです。
合衆国による中国敵視化政策によってマズイと思ったのでしょう、現在では「中国製造2025」はすっかり触れられなくなりました。しかし、中国はこれを諦めたわけではありません。
「半導体崛起」をスローガンに、自由主義陣営国に半導体製造で追いつこうとジリジリとではあるものの前進を続けています。
中国の最初のターゲットはもちろん最も弱い環である韓国です。
中国のシェアが上昇したというデータ
合衆国の『半導体産業協会』(Semiconductor Industry Association:略称「SIA」)が興味深いデータを公表しています。
『SIA』の「2022年 合衆国半導体産業報告書」によれば、韓国のグローバル半導体市場のシェアは「19%」と下落しました。
韓国の市場シェアは、
2019年:19%
2020年:20%
2021年:19%
と推移しています。
ちなみに中国のシェアは「2021年:7%」と伸ばしています。
2018~2020年は「5%」で、この5%を突破できずに来たのですが、2021年に始めて破ったのです。
さらに興味深いのは、中国が半導体設計の分野でシェアを伸ばしていることです。2015年には5%のシェアだったのですが、2020年には9%に上げています。
『SIA』は、2030年には半導体設計分野における中国のシェアは「23%」に拡大すると見込んでいます。
しかしながら、韓国については同分野で「19%」にとどまると見ているのです。
つまり、韓国は半導体設計において2030年に中国に追い抜かれるという予測です。
というわけで、韓国は「Chip4」うんぬんよりも、迫りくる中国の影をもっと気にするべきなのです。中国に技術的に追い抜かれたら、合衆国は韓国に洟も引っ掛けなくなるでしょうし、また中国からも「もう韓国から得るものはない」と粗末な扱いを受けることになるからです。
韓国の半導体産業はまさに正念場を迎えているのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)