おススメ記事

「習近平は中国の夢を見すぎて錯乱している」もはや手遅れ

広告

香港がシンガポールと並ぶ世界的な金融センターとしての地位を失おうとしています。イギリスから中国に返還され、中国共産党が香港から自由を奪ったためですから、まさに自業自得です。

この動きは、中国共産党が香港に対する支配の手を強めれば強めるほど加速します。もはや止められはしません。

中国は「香港に没落してほしくない」

しかし、中国共産党は香港が没落していくのを座視してはおけません。中国本土の経済が傾いており、香港は外国からの資金流入の窓口であるからです。先に「香港の終末」についてご紹介したのも、中国共産党による動きがあったためです。

2024年02月終わりに、中国香港マカオ事務弁公室(HKMAO)の夏宝龍主任が香港を訪れており、28日に北京に引き上げましたのです。これは、同氏は2023年04月にも香港を訪問、視察を行っていました。

02月の視察は、イギリス政府をはじめ人権団体などから批判されている「香港特別行政区基本法第23条」の改正についてのものだと見られていました。

ところが、そうではないというのです。

夏宝龍さんが本土に帰った後、卢文端(盧文端)さんが、夏宝龍さんの香港訪問の意図を解説する文章を『明报』に寄稿しています(上掲/スクリーンショット)。

第10期中国帰国華僑連合会の副会長(非常勤)で中国共産党とのパイプも太く、本土側の意向をしばしば解説するという役割を果たす方です。

卢文端さんによると、夏宝龍さんの香港訪問の主眼はあくまでも「お金」だとのこと。

まず、世界が懸念する第23条については、立法化については障害となるハードルなどなく、わざわざ夏宝龍主任が訪問して調整する必要などないとしました。その上で、以下のように書いています。

(前略)
「香港の最優先課題として、常に発展に焦点を当てるべきである。

これは習主席が香港に教えてきたことである。

発展は永遠のテーマであり、香港の基礎であり、香港の様々な生活問題を解決する黄金の鍵である。

現在、香港特別行政区政府は景気回復に全力を尽くしているが、伝統的な優位性は弱まり、新たな優位性はまだ形成されておらず、消費は低迷し、株式市場や不動産市場は下落の一途をたどり、構造的な財政赤字の解消は容易ではない。

香港社会が最も懸念しているのは経済であり、中央当局からの強力な支援を期待している」
(後略)

香港の金融における地位が下がりって、もはやどうしようもないのは、先の記事でご紹介したとおりです。

「香港社会が最も懸念しているのは経済であり」は本当ですが、「中央当局からの強力な支援を期待している」かどうかは疑問です。

事実はむしろ逆で、香港の皆さんが望んでいるのは「中央当局から切り離してくれ」です。

中国共産党がいかに香港の没落を恐れているかは、以下のように述べています。

(前略)
香港経済が直面する課題について、中央政府が最も懸念しているのは、国際金融センターとしての香港の地位である。

これは金融が香港の生命線であるだけでなく、金融が香港の最も重要な強みであり、国に貢献する機能であるからだ。

しかし、香港の金融市場は、投資の縮小資本の流出株式市場が常に心理的障壁を下回るという苦境に直面している。

こうした状況を受けて、中央当局は金融市場を非常に重視している。

香港の三大国際センターである金融貿易海運のうち、貿易と海運は本土の都市にある程度代替・補完できるが、金融はそうはいかない。

金融の安全保障は国家の安全保障に関わる問題である。

わが国はますます対外開放を進めているが、金融分野の開放には非常に慎重である。

国際金融センターとして、香港は中国最大の外資源であり、中国本土企業の海外投融資の優先チャネルであり、人民元(RMB)国際化の重要な拠点であり、国際金融協力強化の重要なツールであり、中国の対外開放において極めて重要かつかけがえのない役割を果たしている。

中央当局は、中国本土とニューヨークやロンドンなどの国際金融センターを結ぶ香港の市場優位性を確認し、香港を通じてより多くの国際資本を呼び込み、中国本土の建設に参加させることを望んでいる。

これらはすべて、上海や深センでは実現不可能なことだ。
(後略)

卢文端さんの論評は正鵠を射ています。中国共産党は、香港が持っている金融・貿易・海運の3つの機能のうち、貿易や海運は他の都市でも代替可能ですが、「金融だけは無理だ」と分かっているのです。

いまだに「香港を通じてより多くの国際資本を呼び込み、中国本土の建設に参加させる」と考えているのです。だからこそ、終末(おしまい)が明らかになってきた香港にわざわざ夏宝龍さんを送り込んだのです。

習近平さんが「香港は金融に注力しろ」と指令を出しているのは、香港経由で本土に外国から資金が流れ込まないと困るからです。

しかし、今さら中国、いや中国共産党にお金を恵んでやるようなばかはいません。

香港にお金が入らなくなったときが、中国共産党にとっての香港の潰しどきです。もうそうなりつつあります。

習近平は中国の夢を見すぎて錯乱しているのだ

この卢文端さんの寄稿文について、『看中国』が面白い記事を出しています。その記事内でアナリストの反応を書いているのですが……。

(前略)
香港の経済問題は結局のところ政治問題であると指摘するアナリストもいる。

政治問題を解決しなければ、経済は下降線をたどるばかりだ。

中国共産党のトップとして、習近平は香港の民主化デモを暴力的に弾圧し、「一国」を利用して「二制度」の下、自由と法治を粉砕してきた。

国際金融センターとしての香港の地位は、自由と法の支配の上に成り立っている。それがなければ、香港はその黄金ブランドを失い、習近平の「完全な支配」の下、普通の中国の都市になってしまう。

アナリストたちは、習近平は今になって、香港を中国共産党の金鉱にしようとしていると嘆く。中国の夢を長く見すぎて錯乱しているとしか言いようがない。

香港が金融センターとして栄華を極めたのは、自由と(まがりなりにも)法の支配があったからです。その両方が失われるのですから、香港が金融センターであり続けるのは不可能です。

しかし、習近平さんは、外国からのお金が必要であるため、「中国共産党の支配下でも世界の金融センターであり続けろ」と言っているのです。だから――無理です。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました