2024年05月28日、『韓国経済人協会』(『全国経済人連合会』から組織名を変更)が「データで見るコア鉱物の確保状況」という興味深いリポートを出しました。
結論からいえば、韓国の「コア鉱物資源確保の努力」は全く成果を上げていない――というものです(以下がリポート)。
⇒参照・引用元:『韓国経済人協会』「データで見るコア鉱物の確保状況」
資源確保は韓国の国家的命題
いうまでもなく、韓国は鉱物資源の貧弱な国です。石油、天然ガスはいうに及ばず、鉄、銅、ニッケルなど重要資源はほとんどを輸入に頼っており、それらが輸入できなければ輸出するための製品が作れません。
資源が入ってこなければ韓国は干上がってしまいます。そのため、資源確保は韓国にとっては国家の存続に関わる重要課題。
例えば、李明博(イ・ミョンバク)政権時には、資源確保ということで海外の鉱山開発に乗り出したのですが……読者の皆さんもご存じのとおり、空振りばかりという結果になりました。
『鉱物資源公社』など開発に当たった公社に負債を積み上げただけでした。以下の記事でご紹介しましたが、『鉱物資源公社』は負債比率が1万%を超え(つまり負債が自己資本の100倍を超えた)、挙句の果てに債務超過に陥りました。
仕方がないので、資産をできるだけ売却し、『鉱物資源公社』を財務状況がマシな別の公社を合併させるという、事態を糊塗するような措置を取りました。
しかし、その資産売却に及んでも、「日本企業に売るのはけしからん」などという記事が韓国メディアに出る始末でした。「ばっかじゃないの」と思われるでしょうが、本当の話です。
全く資源確保ができなていない韓国の現状
本線に戻ります。
今回『韓国経済人協会』が公表したリポートによれば、資源確保という面で韓国は大変にお寒い状況です。
同リポートでは、
・銅
・亜鉛
・鉛
・鉄鉱石
・ニッケル
・リチウム
・コバルト
の7つを「コア鉱物資源」としています。韓国企業が保有するコア鉱物資源の鉱山は36カ所しかないことが分かりました。
↑黄色のマーカーでフォーカスしているのが韓国企業の保有するコア資源鉱物資源の鉱山数。
中国は1,992カ所、アメリカ合衆国は1,976カ所にもなるのですが、この2カ国はそもそも国土が広く資源にも恵まれた国です。韓国と同じく資源に恵まれない国である日本とも比較しているのですが、日本は「134カ所」となっています。
また、各コア鉱物資源の帰属生産量も非常に小さいことが分かりました。
帰属生産量というのは、鉱山の生産する資源のうちどのくらいの量が入手できるのか示します。つまり鉱山といっても、株主が複数いる場合には、その持ち分によって入できる量が違うわけです。帰属生産量は、「鉱山の総生産量 × 持ち分率」で計算します。
韓国企業の帰属生産量は、7つのコア鉱物資源の全てで1%以下だとリポートしています。以下が(よせばいいのに)日本と比較した「帰属生産量」の割合です。
日本の各コア鉱物資源の帰属生産量は以下のとおりです。
・銅:4.1%
・亜鉛:3.0%
・鉛:2.8%
・鉄鉱石:3.0%
・ニッケル:1.7%
・リチウム:0.4%
・コバルト:2.0%
リチウムだけが1%を割っていますが、韓国企業はチリウムは0.0%です。『韓国経済人協会』が「日本と比較して」何を言いたいのかは知りませんけれども、韓国の資源確保の成果が「全く十分ではない」のは確かでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)