IMF(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)は「最後の貸し手」と呼ばれ、国家がデフォルトを起こしたときには立ち直るための資金を提供してくれます。
しかし、一方で立て直すための処方箋はたいてい苛烈なものであり(処方箋がトンチンカンなこともあると批判もあります)、またIMFはアメリカ合衆国が支配する組織ですから、合衆国(合衆国企業)の儲けになるような方向へ誘導しますすることがあります。
1997年アジア通貨危機の際にはIMFが韓国を支援しました。この時にIMFが支援に動いたのは合衆国が「韓国を支援する」と決めたからです。
しかし、実はこの時、韓国支援に合衆国が動かない可能性もあったのです。現在、経済評論家としてご活躍中の三橋貴明先生は『本当はヤバイ!韓国経済 ―迫り来る通貨危機再来の恐怖―』の中で、以下のように記述していらっしゃいます。
実は1997年12月の時点で、アメリカは韓国からの援助要請に対し、拒絶をしようとしていた。これが覆ったのは、アメリカの国防上、韓国の存在が「まだ」有益であると、当時のクリントン大統領が判断したためである。この時点では、韓国にはアメリカの安全保障上の価値があったわけだ。
⇒参照・引用元:『本当はヤバイ!韓国経済 ―迫り来る通貨危機再来の恐怖―』(三橋貴明,彩図社,2007年)p.124
韓国でIMFを「死神」などと呼んで忌避するのは1997年のアジア通貨危機時にIMFから課された改革によって国民生活に大きな痛みがあったためです。
ただ、その死神が来ない可能性もあったわけで、来なければ来ないで韓国経済を立て直すことが自らの力だけでできたかは……やはり疑問です。
(柏ケミカル@dcp)
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