非常に面白い発見がありましたのでご紹介します。
2022年02月10日、『韓国銀行』が2021年12月末時点での国際収支統計を公表しました。これで2021年が締まったわけですので(ただし暫定版)、つらつら見ておりましたら「?」という点がありました。
国際収支統計の「誤差脱漏」(Errors and omissions)の項目に「113億6,750万ドル」も計上されています。
これは異常な数字です。
すぐ終わりますので、ちょっとだけ面倒くさい話にお付き合いください。
誤差脱漏というのは、統計上の誤差を調整するために設けられた項目です。
国際収支統計は「経常収支」「資本移転等収支」「金融収支」「誤差脱漏」という大きく4つの項目から成っています。
IMF第6版の国際収支統計の規定では、以下の式が成立します。
2021年は以下のように締まりました。
国という巨大なシステムの中の各項目を集計するので結果として「数字が合わない」ということが起こります。その場合には合わない分を、この「誤差脱漏」に入れて調整するのです。
誤差が全然なければ、
になるはずで、誤差脱漏が「-113万6,750万ドル」ということは、
が「+113億6,750万ドル」ということです。
つまり「経常収支 + 資本移転等収支」が金融収支よりそれだけ大きく出てしまって「合わなかった」ことになります。
100億ドル超も合わないのは実に不思議なことです。1980年からここまで、これほど合わなかったことはありません。
論より証拠、『韓国銀行』が公表している国際収支統計の誤差脱漏の推移を見ると面白いことになるのです。
以下をご覧ください。
1980年から直近2021年までの誤差脱漏の金額をプロットしたグラフですが、「アジア通貨危機」の1997年、「韓国通貨危機」の2008年、韓国が経済危機になると誤差脱漏は大きくマイナスに膨らむのです。
2008年:-82億7,420万ドル
2021年:-113億6,750万ドル
これは偶然でしょうか。また現在は大丈夫なのでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)