またも中国リスクが明らかになりました。
2024年01月25日、『Wall Street Journal』が、イギリス人ビジネスマンが中国当局に突然拘束、現在は収監されていることを報じました。裁判にかけられて5年の実刑判決を受けたのです。
本件について、外交部の定例記者ブリーフィングで質問が出たのですが、汪文斌報道官は「事実である」と認め、しゃあしゃあと「中国は法治国家である」と言ってのけました。
外交部が公表した以下のやりとりをご覧ください。
『Financial Times』記者:
『Wall Street Journal』は昨日、イギリス人のビジネスマン、Ian Stones(イアン・ストーンズ)氏が中国の国家安全保障法違反で拘束されたと報じた。報道官はこの件に関する詳細な情報を提供できますか?
なぜ彼は拘留されているのか?
いつ裁判にかけられるのか?彼は何の罪で有罪判決を受けたのか?
証拠は何ですか?汪文斌:
2022年08月23日、北京市第二中級人民法院は、イギリス人のイアン・ストーンズ被告が情報を買い、外国に違法に提供した罪で有罪となり、禁固5年の判決を言い渡しました。この判決が言い渡された後、イアン・ストーンズ被告は控訴した。
北京市高級人民法院は法律に基づいて審理した後、2023年09月08日に第二審判決を公布し、控訴を棄却して原判決を支持した。
中国の裁判所は法律に厳格に則って審理し、イアン・ストーンズ氏の手続き上の権利を完全に保護し、イギリス側の訪問と判決の傍聴を手配した。
中国は法治国家であり、司法機関は法に厳格に従ってこの事件を処理し、中国側と外国側の当事者の法的権利を保護している。
このイアン・ストーンズさんは、「40年以上のキャリアがある自他共に認める中国通」――と報じられています。『GM』『Pfizer(ファイザー)』の現地法人の役員として勤務したこともある人で、15年前に投資コンサル会社『Navisino Partners』を立ち上げて中国で仕事をしてきました。
このような人が突然拘禁されて監獄に送られるのです。
今回の中国外交部が認めたところによれば、第一審の判決は2022年08月23日に出ていました。控訴しましたが、2023年09月08日に第二審でこれが棄却されて有罪確定。5年の禁錮が決定したのです。現在ストーンズさんは「北京第2刑務所」にいます。
中国に2,279日も監禁された日本人・鈴木英司さんの著作『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』によれば、親しく中国と付き合ってきた外国人の方が危ない――とのこと。
今回のストーンズさんの受難も鈴木さんの指摘どおりです。
中国の司法は全く透明性がなく、裁判についての情報も開示しないので、文句をつけることも難しいのです。ちなみに日本の外務省は監禁された日本人について何もできません。日本人を救えない政府機関に何の意味があるのでしょうか。税金を払うに値するのでしょうか。
中国は紛うことなき「人さらい国家」です。この点でも中国は北朝鮮と似ています。
本件についてはイギリスのお手並みを拝見したいところです。日本の参考になるかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)