アメリカは世界に冠たる投資先進国です。Money1でもかつてご紹介しましたが、投資家がお金を投じている金融商品は日本とアメリカではずいぶん異なっています。アメリカはTop5のうち4つまでがインデックス商品です。
インデックス商品は、なんらかの指数(INDEX)に連動したもの。最も著名なのは株価指数に連動した金融商品です。アメリカの株価指数では、例えば「S&P500」などがよく知られますが、実際この「S&P500」に連動した金融商品もあるのです。アメリカのうらやましいところは、このようなインデックスに連動した投資信託(投信)がきっちり利益を出しているということです。つまりは、株価がたとえ一時期下落したとしても、底堅く持ち直し、上昇を続けていることの証左でもあります。
以前も紹介した「どんなに凄腕のファンドマネジャーがいたとしても、例えばS&P500にインデックスした金融商品の運用実績を上回るのは容易なことではない」という言葉が至当で、株価がきちんと長期に渡っては右肩上がりであり、それによって利益が出るから、インデックス連動型の投信に多くの人がお金を投じるわけです。
一方の日本の株価指数はどうでしょうか? 日本取引所グループ(JPX)の東証株価指数(TOPIX)はどのようなパフォーマンスなのでしょうか? 橋本卓典先生の『捨てられる銀行2 非産運用』に非常に興味深いデータがありますので以下に引用します。
時価総額加重平均の指数としてTOPIXと対比されるの米国株S&P500種指数の場合、30年前の1987年2月から2017年2月までで8倍強、20年前の1997年2月から約3倍、10年前の2007年2月から1.6倍に上昇している。
これに対し、TOPIXは1987年から11%強の下落、1997年から14%強の上昇、2007年から約12%の下落だ。
⇒引用元:橋本卓典『捨てられる銀行2 非産運用』講談社(2017年),P.256
S&P500が30年前と比較して8倍になっているのに、TOPIXはマイナス14%、これでは全くお話になりませんね。もしTOPIXに連動した投信にお金を突っ込んでいたら、資産はマイナス14%もの大損に見舞われたことになります。金利は微々たるものかもしれませんが、元本は保障される銀行預金の方がまだマシ、となるのは当然のことでしょう。
日本で投資が進まないのは、日本の投資リテラシーの低さだけではありません。成功体験をさせてくれる金融商品が見当たらない、という点にもその理由を求めることができます。損失ばかりさせる金融商品など誰が好んで購入するでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)