経済ニュースの中に長期金利という言葉がよく出てきますね。「長期金利が上がった」「下がった」なんて話があるわけですが、この長期金利とは何でしょうか? またその上下にはどんな影響があるのでしょうか!?
■「長期金利」とは「1年以上」のお金の貸し借りに掛かる「金利」
まず、長期金利とは1年以上のお金の貸し借りに掛かる金利のことをいいます。
例えば、皆さんが住宅を購入する際には「住宅ローン」を利用することが多いですね。住宅ローンの場合、10年、20年といった長い期間にわたってお金を返します。この住宅ローンの金利は長期金利です。
また、企業が設備投資などで銀行からお金を借りたりします。このお金も例えば5年で返す、10年で返すといった場合が多いですので、この融資に掛かる金利も長期金利です。
景気が良くなって、個人や企業が「住宅を購入しよう!」「事業拡大のために設備投資をしよう!」なんてことになると、借り手が増えるわけです。そうすると、貸し手にとってはお客さんがたくさんいるわけで「金利上げても大丈夫だろ!」となります。
つまり、景気が良くなる、また良くなるぞ! という予測が立つと長期金利は上がるのです。例えば、それまで「10年借りて2%」だった住宅ローンの金利が、借りてくれる人はたくさんいるもんね! というわけで「10年借りて5%」になったりするのです。
逆に、景気が悪くなると、「賃貸でいいや」とか「不景気だから借金してまで事業拡大しない」となって借り手は減ります。貸す側からするとお客さんが減るわけですから、「金利を下げても借りてもらわないと!」となります。
つまり、「景気が悪くなる」、また「悪くなるぞ!」という予測が立つと長期金利は下がるのです。例えば、「10年借りて2%」だった住宅金利のローンが、借りてくれる人がいない! というわけで「10年借りて1%」になったりするのです。
■指標としての「長期金利」
この「長期金利」ですが、経済ニュースなどで指標として登場する場合があります。日本の場合、長期金利の指標として多く使われるのが国債の利回りです。国債は日本政府が発行する債券です。これを買うと、○年後に△%の利子(これがいわゆる「利回り」)を付けてお返しします、となっています。この○年後が1年以上の場合、△%も長期金利ということになりますね。
この○年によって「○年物」なんていいますが、「10年物の国債」の利回りがいくらになっているかが、日本では代表的な長期金利の指標となっています。
これは、国債の価値(価格)にその理由があります。
国債は、価値(価格)が下がるとその利回り(金利)が上がるのです。
例えば、話題になったギリシャ国債で考えてみましょう。デフォルト騒動を起こすような国の国債はその価値が大変に低いです。でも、だからこそ多くの人に買ってもらうために利回りが大変に良くなっています。例えば2年物(償還期間2年)のギリシャ国債は2015年7月6日には利回り(気配値)が48%にもなりました(ロイター)。
ですので、国債は価値(価格)が下がると利率が上がるのです。
さて、日本の話に戻ります。
銀行などの金融機関は国債を大量に保有しています。景気が良くなってきた、あるいは景気が良くなりそうだ! と予測が立つと、銀行は国債を一部売って、より利率の良い金融商品に乗り換えます。そちらの方がもうかるのであれば当然ですね。
国債が大量に売られるとその価値(価格)が下がります。すると利回り(金利)が上がる ⇒ 長期金利が上がるとなるのです。
ですので長期金利の上げ下げは「景気」「景気予測」と深く結び付いています。住宅ローンを組んで家を購入するなどの場合には、長期金利の動向をよく見ていなくてはいけません。現在すでに住宅ローンを組んでいる人でも「借り換え」のタイミングは長期金利に注意して決めましょう。
(高橋モータース@dcp)