経済ニュースを見ていると「実効為替レート」という言葉が登場することがありますね。円高・円安などという場合には、普通「(米)ドル」に対していうことが一般的です。
日本はアメリカに多くの品目を輸出していますし、また国際間の決済ではドルが使われることが多いですので、対ドルでの円の強弱が最も重要と考えられるからです。
しかし、円はドルとだけ交換されているわけではありません。ユーロなどほかの通貨ともやりとりされています。
ですから、ある通貨の強さを知りたいのであれば、その通貨が実際にやりとりされている他の全通貨との為替レートを調べ、貿易額などで計った相対的な重要度で重み付けし、参考になる数値を算出してやる必要があります。このような考えの基に計算されるのが「実効為替レート」です。
例えば、日本銀行では「円」の実効為替レートについて、
「実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します」
と説明しています。
⇒データ出典:『日本銀行』「「実効為替レート(名目・実質)」の解説」
https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exrate02.htm/
以前、Money1でドルがほかの通貨に対してどのくらい価値があるのか、それを測る指数(INDEX)として「DXY」をご紹介したことがありますが、考え方としてはそれと同じです。
実効為替レートを見ると、世界におけるその通貨の(相対的な)実力が分かります。価値が相対的に下がっていれば、安いわけで、つまり輸出する際に有利、ということになります。逆に相対的に上がっていれば、高いわけで、つまり輸入する際に有利ですね。
ですので、たとえばドル円だけ見ていると「ドル安」(円高)であるのに、実効為替レートで見ると「ドル高」ということがあり得るのです。
(柏ケミカル@dcp)