制裁関税・報復関税が発動される07月06日が目前となりましたが、中国の方が先に07月06日になるため、アメリカの制裁関税に対する「報復関税」にはならず、これはWTO(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)のルール違反では? という指摘が挙がっています。
いまさらWTO違反も何もないようなものですが、中国の報復関税には日付以外にも、WTOのセーフガード(緊急輸入制限)措置についてのルールを順守していないとの指摘があります。
セーフガード措置に対しては、相手国との協議をし、またWTOに報告するというルールがあります。一方的に報復することをWTOは認めていないのです。
アメリカの制裁関税の賦課がセーフガードになるか、またアメリカの制裁関税の賦課についての法的根拠もいかがなものか、というところですが、中国の報復関税がWTOのルールに従っているかは大いに疑問です。結局のところ、アメリカ・中国によって公正な貿易のために設立されたWTOがないがしろにされていることこそが問題なのです。
というわけで貿易戦争による市場への影響はひどいもので、たとえば中国のCSI指数(INDEX)は以下のように急落しています(チャートは『Bloomberg』より引用)。中国政府は火消しに躍起ですが、急落の事実は隠しようもありません。また、恐らく止めようもありません。
識者からは「3,000割れも十分あり得る」という指摘も出ています。アメリカ・トランプ大統領は「WTOはアメリカを不当に扱っている」などと発言していますが、事実は全く逆で「アメリカはWTOのルールを尊重せず、不当に扱っている」のではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)