2018年01月から「つみたてNISA」が利用できるようになったためか、それまで投資に興味がなかった人からも「投資信託(投信)」に注目が集まっているようです。
投資信託にもさまざまな種類がありますが、その中に「毎月分配型投資信託」というものがあります(隔月分配型もあります)。
毎月分配型投資信託は「1カ月ごとに運用結果を計算し、収益等から分配金(収益分配金)を受け取れる」というもの。運用を続けながら成果は毎月受け取れるので、一般にウケがよいようです。
コツコツと毎月分配金が受け取れるという点が日本人に支持されるのかもしれませんが、実はこの毎月分配型投資信託は、資産形成を考えるなら避けるべき金融商品なのです。
その決定的な理由は以下になります。
毎月決算を行い分配金を出すため「再投資」の効果が得られない
たとえば「100万円」を投資して、年利5%で回せたとします。1カ月で計算すれば「0.41%」(正確には0.4166%で「4,166円」)です。
1カ月の分配金は「4,100円」です。これをいちいち決算して分配するわけですから、次の月もまた同じ利回りで利益が出ても、分配金は「100万円×0.41%=4,100円」。
1年でこれを積み上げても「4,100円×12=4万9,200円」(同上で小数点4桁まで計算すれば4万9,999円)です。次の年も同様に「5%」を確保したとしてもこれが続くわけです。
5年続くと、
4,100円 × 12カ月 × 5年 = 24万6,000円(利益額)
(小数点4桁までイキにすれば24万9,960円)
これが年利5%で、利益を同じ投資信託に再投資したとしたらどうなるでしょうか? 最初の年は、
100万円 × 5% = 5万円(利益額)
の利益でこれを再投資すると、
105万円 × 5% = 5万2,500円(利益額)
になります。さらに次の年、この利益を再投資すると、
110万2500円 × 5% = 5万5,125円(利益額)
となります。同様に5年続けると利益額は「27万6,282
円」です。同じ100万円の投資でも、再投資が行えた方は結果として年利「5.52%」で回ったことになります。
時間がたてたたつほどこの再投資の効果は大きくなります。いわゆる「複利効果」というやつですが、毎月分配型投資信託では毎月決算が行われるために複利効果が得られないのです。
さらに問題なのは、運用益からのみ分配金を支払うものであればまだ良いのですが、投信によっては「必ず分配金を出す」という、運用実績よりも分配金を出すことを優先するものがあることです。
この場合、運用実績が悪いのに集めた資金から分配金を捻出するということがあります。つまり投資の元本を取り崩すわけです。こうなると投資家は投資したお金がなくなってしまうことも覚悟しなければなりません。
ですので資産形成を考えるのであれば、毎月分配型投資信託は避けるべきといえるのです。再投資効果がないので、少なくとも元本を増やすものではありません。
(柏ケミカル@dcp)