売買のタイミングを見極めるためには各種の指標(INDEX)を参考にします。自分の勘だけに頼って株の取り引きを行っているトレーダーは、現在ではむしろ珍しいでしょう。ただし、どのINDEXも絶対的な売買のタイミングを示すものではありません。複数のINDEXを組み合わせて使い、最後は自分で判断するしかありません。
ですので、INDEXについてできるだけ種類を知っておいた方がいいでしょう。どんなINDEXがあなたに良い決断を促してくれるか分かりませんから。
というわけで「ABレシオ」の「Bレシオ」についてです。「Aレシオ」については先の記事を参照してください。
「Bレシオ」はその株式銘柄の「人気の強弱」を測るINDEXとされています。注目するのは「前日の終値」と「当日の高値」「当日の安値」です。
・「強い人気」を「『前日の終値』から『当日の高値』までへの上昇金額」
・「弱い人気」を「『前日の終値』から『当日の安値』までへの下落金額」
と定義しています。下の「ロウソク足」の図を見ていただいた方が分かりやすいでしょう。
この定義を基に「Bレシオ」の計算方法は以下になります。
Bレシオ(%) = ○日間の強い人気(当日の高値 - 前日の終値)の合計 ÷ ○日間の弱い人気(前日の終値 - 当日の安値)合計 ×100
※○日間は通常「26日間」が使われます。
前日終値から当日高値への上昇金額を一定期間分(通常26日分)合算して、「強い人気」の金額を算出。同様に、前日終値から当日安値への下落金額を合算して、「弱い人気」の金額を算出。「強い人気の合計金額」を「弱い人気の合計金額」で割り、100を掛けてパーセント表示にします。
「強い人気の金額」と「弱い人気の金額」が同じなら、Bレシオは「100」(%)になります。つまり、前日からの高値への上がり幅と、安値への下がり幅がほぼ同じというような拮抗した状態であれば、Bレシオは「100」(%)近辺で振動するはずです。
「強い人気の金額」が「弱い人気の金額」よりも大きければ、分子の数字の方が大きいわけですから、Bレシオの数字は「100」(%)を超えます。Bレシオの数字が100(%)を超えると、その株式銘柄は「○日間において、前日の終値から当日高値まで動く金額が、当日の安値まで動く金額よりも大きい」ことを意味しています。
逆に、「弱い人気の金額」が「強い人気の金額」よりも大きければ、分母の数字が大きいわけですから、Bレシオの数字は「100」(%)より小さくなります。Bレシオの数字が100(%)より小さいと、その株式銘柄は「○日間において、前日の終値から当日安値まで動く金額が、当日の高値まで動く金額よりも大きい」ことを意味しています。
「ABレシオ」についての説明が長くなって恐縮ですが、次の記事では「Cレシオ」についてご紹介します。
■「強いエネルギー」「強い人気」みたいな用語はこのINDEXだけで使います!
注意していただきたのは、この「強い人気」「弱い人気」、また「Aレシオ」の説明で登場した「強いエネルギー」「弱いエネルギー」といった用語は、あくまでもこの「ABレシオ」というINDEXの中で定義されたもので、一般的なものではないということです。
考案者の篠原さんが「当日の高値から前日の終値を引いた金額」を「強い人気」と名付けました、これは使えるんじゃね? ということに過ぎません。それが妥当かどうか、またその定義に意味があるかは、INDEXに有効性次第なのです。もっと率直にいえば、ABレシオがトレーダーにとって有用でないなら、そのような用語には何の意味もないということです。これは使ってみる読者の皆さんに強調しておきたい点です。
(高橋モータース@dcp)