EU圏と中国の関係の新たな状況となりそうです。
EU圏経済の中核であるドイツは、2023年04月27日、中国商務部の王文濤部長(商務相)と副首相兼経済・気候保護大臣であるRobert Habeck(ロベルト・ハーベック)さんとの会談を行っています。
以下は中国商務部が出したプレスリリースです。
王文博商務部長は27日午後、ベルリンでドイツのハベック副首相兼経済・気候保護大臣と会談し、両国首脳の経済貿易合意の履行、経済貿易問題に関する次の段階のハイレベル接触の準備と成果、二国間実務協力の深化、双方の企業にとって公平で公正なビジネス環境の構築、貿易統計やグリーン協力などについて率直かつ突っ込んだ意見を交換し、ドイツ側の輸出規制について懸念を表明しました。
最後に「輸出規制について懸念を表明」とありますが、これが「中国を締め上げる一手」についての言及です。
ドイツは、中国の半導体製造を阻害するために、製造工程で使用する科学物資の輸出を制限することを考えています。中国リスクを軽減するためです。
本件は『Bloomberg』など外信も報じているのですが、この輸出制限が行われるとドイツ化学企業の『Merck(メルク)』や『BASF』が大きな影響を受けそうですが、中国を強烈に締め上げることが可能です。
それが「効く」だろうことは、ドイツの動きに対してさっそく中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が牽制球のような記事を出していることからも明らかです。
以下に記事の一部を引いてみると、こんな具合です。
ドイツは、半導体製造に使用される化学物質の中国への輸出を制限することを検討していると報じられています。
この動きは、中国と欧州の関係の良好な方向性を崩し、同国の産業基盤に「激しい打撃」を与え、すでにウクライナ危機と関連して経済的打撃を被っている経済をさらに苦しめるだろうと、専門家は述べています。
(後略)
冒頭部分だけで十分ですが、もしそんなことをしたら、欧州と中国との関係が悪化して自国産業にも悪影響があるぞ――と脅しています。
つまり、効くわけです。
ドイツの輸出制限については「まだ議論の初期段階」ということですが、実際にドイツがどうするのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)