中国における「資源・中間財の武器化」が明確になっています。先にご紹介したとおり黒鉛関連製品の輸出制限を決めました(12月01日から施行)。
車載用バッテリーの核心素材であるために、「K-バッテリー」を誇ってきた韓国は多大な影響を受けます。黒鉛だけではなく、他にも輸入量のほとんどが中国からという品目があって、これらも中国の出方によっては危なくなってきます。
『韓国銀行』は「わが国主要製造業生産およびサプライチェーン地図(2023)」という非常に興味深いリポート※を出しているのですが、『韓国経済』がこれを基に中国依存が著しい主要製品について精査しています。韓国が中国から輸入している主要製品を関税庁のデータで検索をかけてみたのです。
関税庁では「HSコード」によって輸出入の現況(量と金額)を検索できるサービスを提供しています。これによって中国依存の大きな輸入品目を確認したところ――『韓国経済』は以下のような中国依存が80%となっている以下のような物品が危うい――としています。
中国依存度の高い主要製品
アルミニウム線:2,356万ドル(依存度:99.7%)
NCA前駆体:7,342万ドル(依存度:98.8%)
(NCAはニッケル・コバルト・アルミニウム/二次電池の正極材に用いる)
p-フェニレンジアミン:2,728万ドル(依存度:98.2%)
(髪染色薬の主成分)
鋼管(溶接、角形) :5,487万ドル(依存度:98.1%)
NCM前駆体:23億5,350万ドル(依存度:96.9%)
(NCMはニッケル・コバルト・マンガン)
スーパーキャパシタ:5,606万ドル(依存度:96.8%)
二次電池用電解質:3,190万ドル(依存度:96.4%)
フッ化水素酸:5,949万ドル(依存度:95.9%)2023年01~09月の輸入額基準/データ元:『韓国 関税庁』
上掲は特に危ないものですが、中国依存度が高いものは他にもあって、例えば「半導体製造の露光工程に用いられるネオンガス」の主原料であるネオンも総輸入量の82.7%が中国からです。
中国に輸出を止められたら「韓国の自動車は窓なし」か?
実は、韓国がいかに中国からの輸入に頼って輸出製品を製造しているのかは、この『韓国銀行』の資料に残酷なまでに描写されています。
例えば、自動車の場合は以下のような調達具合です。
韓国は、自動車の完成品を輸出していますが、上掲のとおり、カーステレオ、エアコン、窓、ワイヤーハーネス、エアバッグ部品などなど、多くの部品・装置を中国から輸入、調達していることが分かります。しかも、中国依存度が高いです。
中国からの輸入が滞って韓国内で大問題になった「ワイヤーハーネス」は、この資料によると中国依存度が「71.4%」あります。
それどころか「窓」の中国依存度は「91.7%」もありますから、中国が韓国に自動車用の窓を輸出しないと決めたら、とたんに韓国産の自動車は「窓なし」になりそうです。
実際に起こったら大笑いするしかありませんが、「窓大乱」です。
中国は、依存度の高い物品を利用して各国に嫌がらせを仕掛けてきます。韓国は、自由主義陣営国側にとどまりたいのであれば、中国の嫌がらせをはねのける必要があります。
『韓国銀行』がこのようなリポートを出すこと自体が「警告」に他なりません(『韓国銀行』は「いい仕事」をしました!)。
つまり「脱中国」「中国外し」を行ってサプライチェーンに組み替えないといけません。
日本も全く他人事ではありません。
(柏ケミカル@dcp)