中国は経済が傾いているので、流動性を供給し続けています。中国共産党政府の当局は2021年から2023年にかけて約54兆元(約7.6兆ドル)もお金を増やしました。
20カ月で54兆元です。
これだけお金をまいていれば、お金の価値が下がってインフレになりそうなものです。
しかし、事実は真逆。
中国はデフレに陥っています。2024年02月08日に中国の統計局が公表したデータによれば、2024年01月の消費者物価指数(CPI)は対前年同月比で「-0.8%」です。
2023年12月は対前年同期比で「-0.3%」でしたから下落幅が大きくなりました。
『The New York Times』など外信では、この「-0.8%」について、「01月の中国の消費者物価は2009年の世界金融危機以降で最も下落した。 これは消費の低迷と工場や農場での過剰生産の兆候であり、企業は値引きを余儀なくされている。いわゆるデフレ現象で、経済に大きな危機をもたらす可能性がある」などと報じています。
では、刷りも刷ったりな「54兆元」はいったいどこにいってしまったのでしょうか。
『看中国』が面白い意見を紹介しています。ドイツ在住の中国問題専門家、吴文昕さんにインタビューしているのですが、彼は以下のように述べています。
「私にいわせれば、何かが間違いなく間違っている。
経済学的に見れば、突然のお金の大量印刷は経済を刺激するためである。
そのお金が消費者の手に渡れば、通常はインフレとともに購買力が強化される。急にお金がたくさん手に入れば、誰もが買い物に出かけるだろうが、中国のショッピングモールには人だかりができていない。不思議だ。
このような状況に陥った原因のひとつは汚職であり、お金の一部が共産党幹部の懐に入っている」
たとえ中国共産党がお金を抜いているにしろ、しかし一部に過ぎないでしょう。残りはどこにいったのか? 吴文昕さんの意見は以下です。
「そのお金は銀行に最初に入ったと推定されるが、銀行は莫大な負債を抱えているため、ほとんどのお金は負債の返済に使われた可能性がある。
そのため、お金は市場に流れず、国民の手に渡らず、経済を刺激する方法はない。
そうして中国経済は回復しない」
中国共産党が抜くのと、負債返済に充当するので、銀行に入るお金が消えてしまうのだ――というご意見です。お金をまいてもまいても経済が回復しないという中国の現状に対するひとつの見方です(あくまでも一つの見方)。
(吉田ハンチング@dcp)