中国当局は強気だが「どこまで人民元安」に耐えられる? 乖離「1,597pips」の異常事態

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「人民元」は安値方向に圧力を受けており、これをなんとか凌いでいる状況です。

まず、ドル人民元のオンショアが以下です。

一見して分かるとおり、ローソク足が極端に短く上昇をなんとか凌ぐ苦しいプライスアクションとなっています。トレンドは元安方向です。

次にオフショア。

なんとか直近最高値さいたかねを抜かずに済んでいますが、トレンドは元安方向です。

中国の人民元は、その日の中心レートを当局が示し、振幅を上下2%以内にする――というのがルールです。中国こそは完全な為替操作国であって、問題は希望するレートを外れる場合、当局がなんとか収めないといけないという点です。

当局が想定したレートよりも元安が進行すると、ドルを売って人民元を買うことになります。その分ドルが溶けるわけです。

『Bloomberg』が非常に面白いリポート記事を出しています。中国当局が日々設定する中心レートが、市場予測よりも大きくズレてきたというのです。

例えば2024年04月11日、『中国人民銀行』は中心レートを「1ドル=7.0968元」としました。ところが市場はどうなったかというと、終値「7.2373元」です。つまり、安値方向に中心レートから「1.979%」動いたわけです。リミットぎりぎりですね。

『Bloomberg』のリポートによれば、市場予測と比較すると中国当局の設定する中心レートは「強気すぎる」のです。

つまり、「そんなに元安にはならないよ(しないよ)」という意思表明なわけですが、市場からすれば「いや、もっと元安方向だってば」なのです。

結果、許容できる「2.00%」ぎりぎりになってしまうのです。これは通貨当局が必死になって押し留めている結果と見えます。ドルを溶かして防衛しているわけです。

『Bloomberg』は、市場予測の水準と中心レートの乖離は、データを集計し始めた2018以降で過去最大の「1,597pipsに広がったとしています。

pip(ピップ)は「percentage in point」の略で、複数形がpips(ピップス)。FXの取引をする場合には覚えておかなければならない基本用語。pipは0.01で、例えばドル円の取引の場合は「1pip = 0.01円(1銭)」になります。

「1,597pips」は異常な数字です。

いかに中国当局が元安を進行させたくないかの意思表示ですが、市場は「いや、元安だってば」となっているのです。市場の元安圧力がさらに高まれば、中国当局は「元の切り下げだー」とどこかで諦めざるを得なくなるでしょう。

⇒参照・引用元:『Bloomberg』「中国中銀、人民元支え続ける方針示唆-強めの中心レート設定」

(柏ケミカル@dcp)

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