アメリカ合衆国が黙っちゃいないだろう――というお話です。
合衆国、EUを代表とする自由主義陣営国と中国の対立が激しくなっており、中国は高度な半導体をますます入手しにくくなっています。トランプさんだ大統領に再登板すれば、さらに厳しくなることは明らかです。
「今のうちだ」とばかりに中国は半導体在庫の買い占めに走っている――という報道が『South China Morning Post』(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)などの外信に出ています。
なんだか『Huawei(ファーウェイ)』への半導体供給禁止が決まったときみたいな話ですが、中国が半導体の大量購入に乗り出しており、これが韓国の半導体輸出回復に大きな影響を与えている――という構図です。
中国さまさまで、韓国の『サムスン電子』『SKハイニックス』の業績が好調なのは(半導体だけなのですけれども)そのためでもあります。
具体的な数字をあげれば、2024年上半期時点で、『サムスン電子』と『SKハイニックス』の主要地域別売上高のうち、中国での売上高は両社合わせて「40兆9,513億ウォン」(2社の上半期決算報告による)。
約41兆ウォンになるわけですが、2023年同期が「21兆6,901億ウォン」でしたので、対前年同期比なんと「88.8%の増加」となります。
『South China Morning Post』は、「中国の半導体メーカーは、合衆国の新たな規制が発表される前に半導体を備蓄しなければならない」と書いています。
本件について、『東亜日報』が面白いことを書いています。同紙の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
『ファーウェイ』・『バイドゥ』など中国のビッグテック企業は、合衆国の制裁がさらに強化される前に、人工知能(AI)開発のために高帯域幅メモリ(HBM)まで大量に購入している。市場調査会社の『トレンドフォース』は、「中国企業が追加輸出制限を恐れてAIチップとメモリ在庫の備蓄量を大幅に増やしている」と分析した。
『サムスン電子』と『SKハイニックス』の対中国売上は、下半期にも上昇傾向を見せる見通しだ。
合衆国は『サムスン電子』と『SKハイニックス』の主力製品であるメモリー半導体の対中国輸出には特に制裁を加えていない。
(後略)⇒参照・引用元:『東亜日報』「중국에서 돈 빼는 외국인들… 美 빅테크 ‘차이나 런’ 가속화」
「ちょっと待て、おい」です。
この『東亜日報』の書きようでは、『サムスン電子』『SKハイニックス』は、HBM(High Bandwidth Memory:広帯域メモリー)まで中国に販売していることになります。
2024年09月05日に、『BIS』(Bureau of Industry & Securityの略:アメリカ合衆国商務省産業安全保障局)が輸出関連措置を発表しています(以下)。
量子コンピューティング、先端半導体関連のものについては、輸出する際に合衆国に許可を申請しなければなりません。
もし韓国が先端半導体を中国に輸出して、中国の駆け込み需要で「儲かってるなあ」なら、これは合衆国に締められる可能性が高いのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)