景気を良くしたい・物価を上げたいという場合、「お金の供給量を増やして資金調達をしやすくする」という施策が取られます。これが、いわゆる「金融緩和」と呼ばれるものですね。
そもそも根本にある伝統的な考え方は、
①マネタリーベースを増やす
↓
②マネーサプライも増える
↓
③物価が上昇する
というもの。つまり物価を上げたいときには、中央銀行は金融機関にお金を多く貸し出して、お金の流通量を増やすことを目論むのです。中央銀行からお金を調達した銀行は、これを企業・個人に貸し出します。この貸し出しによって銀行から民間にお金が出ていき、マネーサプライが増えるというわけです。
上記のとおり古典的かつ基本的な考え方で、「間違っている」とはされないのですが、問題なのは、躍起になってマネタリーベースを増やしてもマネーサプライの増加がそれに追随しないことがある、という点です。
これは「借り手がいない」場合に起こります。銀行などの金融機関に潤沢な資金があっても、貸し出すことができなけれ無意味です。貸し出して初めて市中にお金が出回りますし、また貸し出さないと銀行に金利収入が入ってきません(つまりお金が増えません)。
資金需要のないところにお金を供給しようしても、結局は無理があるということです。何が言いたいのかといいますと、アメリカの利上げについての「落とし穴」が実はそこにあるのでは? という件です。貸し手多くして借り手少なければ、金利上昇はさらなる借り手減少につながるかも? という話でした。
(柏ケミカル@dcp)