アメリカFRB(連邦準備制度理事会)が段階的利上げを実行しており、ヨーロッパではECB(欧州中央銀行)も慎重ながら金融緩和から金融引き締めへの道筋をつけようとしています。
日本はといいますと、インフレターゲットが全然達成されないので、すっかりマイナス金利・超低金利が板についてしまった感があるわけです。経済ニュースで「日銀の出口戦略」が話題に上るようになって久しい感じもしますが、そんなものありゃしませんね。
ここに来て「低金利が過ぎたんじゃないか」と反省しているとも取られかねない、黒田日本銀行総裁の発言がニュースになっています。
11月24日のロイター記事「黒田総裁「リバーサル・レート」発言の真意」によれば、黒田総裁はスイス・チューリッヒ大学での講演で、
金利を下げ過ぎると、預貸金利ざやの縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転(リバース)する可能性があるという考え方
と「リバーサル・レート」について触れたというのです。
⇒引用元:『ロイター』「黒田総裁『リバーサル・レート』発言の真意」
https://jp.reuters.com/article/column-yasutoshi-nagai-idJPKBN1DO03V
「リバーサル・レート(reversal rate)」とは聞き慣れないテクニカル・タームですが、「低金利が過ぎるとかえって金融緩和の効果がなくなること」を指しています。
経済理論というのは、「実際にやってみないと分からない」ですから、実証が難しいのです。しかし、今さらそんなことを言われても……という感じは否めません。
史上例を見ない低金利で金融緩和を行ってきた日本銀行ですけれども、そのせいで銀行の収益率が下がり、「3万人超を人員配置換え!」みたいな話にもなっているわけです。
世界中から「日本みたいに失敗しないようにしよう」なんて言われなきゃいいのですが。世界中の経済学者から「日本がいろいろ実験してくれて大変参考になる」と思われていることは確かです。
(柏ケミカル@dcp)