「無担保コールレート(オーバーナイト物)」という言葉があります。たまに経済ニュースで出てくるのですが、意味はご存じでしょうか? 一般人には関わりが少ないと思いきや、実はけっこう深く関与していたりします。
■銀行同士でお金を融通し合う「市場」がある
まず銀行に「本当にあるお金」について考えてみましょう。銀行は多くの人から預金という形でお金を集めます。銀行はそのお金を企業や個人に貸し出し、金利を付けて返してもらいます。
ですので、(銀行にお金を預けた人に支払う)預金に付ける金利よりも、(銀行がお金を貸し出した人に支払ってもらう)貸し出し金利の方が高くないと、銀行はお金を稼げません。
つまり、銀行とはみんなから集めたお金を貸し出し、間で利ざやを稼ぐ商売なわけです。ここで問題になるのは、みんなから集めたお金が全部銀行にあるわけではない、という点です。
銀行の窓口に行って、自分の預金口座からまとまったお金を下ろそうとすると「何に使うの?」「なぜいるの?」などとチクチク聞かれ、「大きなお世話だよ!」と怒鳴りたい気持ちをぐっとこらえたという経験をしたことがある人もいらっしゃるでしょう。
また「口座から3,000万円下ろしたい」と言ったら、「すぐにはないですので来週の水曜日に来てください」と言われたなんて経験をすることもあるでしょう。
銀行というのは、お金の又貸しをする企業ですので、預かったお金が全部手元になくても成立しますし、成立するギリのところまでしかお金を用意していないものなのです。ですから、大口の現金のやりとり(というか吐き出し)が一時に発生すると、お金の準備が足りなくなることがあるのです(逆に余ることもあります)。
そのため、銀行同士でお金を貸し借りする「インターバンク市場」というものがあります。お金を借りても翌日全額返すのですが、そこには金利が付きます。この金利が「無担保コールレート」です。1日で返却するので「オーバーナイト物」と呼びます。
無担保コールレートは銀行同士での金利ですが、私たちがお金を借りるときに金利にも影響しています。
銀行がお金を調達するときの金利が無担保コールレートですので、銀行が私たちお金を貸し出すときの金利はそれよりも大きな金利になっています。でないと銀行が損をするからです。
というわけで、無担保コールレートは私たちの利用するローン、また企業の資金調達に大きな影響力があるのです。
(柏ケミカル@dcp)