経済ニュースではよく日本、アメリカなど国の「金利」が話題になります。この場合の金利は普通「政策金利」を意味しています。政策金利はその国の金融政策の基盤になりますので非常に重要です。
中でも重要なのはアメリカの政策金利です。これはしばしば「FF金利」と呼ばれます。FF金利のFFは「Federal Funds(フェデラル・ファンド)」の略で、アメリカの市中銀行が連邦準備銀行(12行あります)に預けている資金のことを指しています。
市中銀行が破綻したときには、取り付け騒ぎなどが起こって社会的な混乱を招きかねません。そこで中央銀行(アメリカの場合は連邦銀行が中央銀行に当たります)にある程度の資金を拠出させて、いざというときのために備えておくのです。
破綻に備えるための「資金」ですから、Federal Fundsは「準備預金」と訳されます。銀行業を営むためには「こんだけお金が要るよ」と連邦準部銀行がいうわけで、下世話にいえば「準備預金」は「ショバ代」みたいなものです。
このショバ代は、銀行の受けて入れているお金(預金など)の「一定比率」以上を出すこと、というルールになっています。そのため預金額などが増えると準備預金として出すお金も増えてしまいます。そのくせ準備預金には利子も付きません。
銀行は多くの人からお金を預かり、それを貸し出すことで成立している商売です。お金を預かった人には利子を付けますが、貸し出すときにはそれより大きな利子をもらって、その差額で儲けます。
例えば、預金者からお金を預かるときは「毎年0.02%の利子を付けます」と言い、貸し出すときは「毎年5%の利子をつけて返せよ、このヤロー」と言うわけです。
つまり、できるだけ多くのお金を集め、手元に残るお金を必要最低限にして、できるだけ多くのお金を貸し出したいのです。
それなのに「ショバ代をさらに出せ」といわれると困りますね。「手元にそのお金がない!」なんてことが起こるわけです。ですので市中銀行は、足りないお金をお互いに融通し合っています。
このお金の融通には「利子」がつきます。これがFF金利です。「FOMC(連邦公開市場委員会)が利上げを決定!」なんてニュースがあれば、この利上げは「FF金利」が上昇することを指しています。連邦準備銀行は、FOMCの決定に従ってFF金利を誘導するという仕組みになっているのです。
(柏ケミカル@dcp)