読者の皆さんもご存じのとおり、中国のあちこちで停電が発生しています。本来なら最優先して電力が回されるべき北京や上海でも地域ごとに輪番で停電を実施したりしています。
寒波だというのに無茶な節電をしなければならないのは、オーストラリア産の石炭の輸入制限を行なったため火力発電所が燃料不足となり、発電量が落ちているから――と解説されています。
しかし、中国共産党はそのような説明はしていません。
中国共産党の御用新聞『人民日報』2020年12月18日付けの記事に、「電力供給が逼迫している理由は何か?」についての説明があります。以下に一部を引用します。
电力供应偏紧的原因是什么?
電力供給が逼迫する理由は?一部の地域で電力供給が逼迫していることを受けて、17日「国家発展改革委員会」は、その理由の1つは工業生産の急速な回復が電力消費を大きくしたことにあると述べた。
11月の湖南省の工業企業の成長は前年比7.4%増、1月から11月にかけて前年比4.3%増と全国平均を2ポイント上回った。江西省では前年比7.9%増加し、1月から11月にかけて前年比4%の増加で全国平均を1.7%上回った。浙江省では、11月に前年比11.9%増加し、国内で5位にランクされた。1月から11月にかけて前年比4.8%増加し、全国平均の2倍以上の伸びとなった。
2つ目は、極寒のため電力負荷が増加したことだ。12月以降、強い冷気の影響を受けて、湖南省と江西省の気温は異常に低くなった。これらの地域の暖房は電気に依存しており、そのため電力消費を増加させている。
第3に、限られた受電設備容量とユニットの故障により、電力供給を確保することが困難になっている。湖南省の受電容量は600万キロワット、江西省は260万キロワットであり、これらは全てフルに使用されている。また、石炭火力発電所は、長期の高負荷運転による故障のリスクを高めている。湖南省越陽発電所、宝慶発電所のユニットは最近故障して停止し、102万キロワットの電力供給に影響を与えている。
報道によると、浙江省の現在の電力供給は省の電力需要を保証することができ、電力供給の不足はない。ただし、いくつかの場所では、エネルギー節約と(CO2:筆者注)排出削減を促進するために電力消費を制限する措置を講じている。
(後略)⇒参照・引用元:『人民日報』「部分地区为何“限电”?电力供应能否保障?」
要は、コロナ禍からの回復で工業生産が伸び、極寒で電力消費量が上がっているのに、電力供給をユニットの故障などで行なうことができない。そのために節電を行なうのだ、というのです。プラス「炭素排出量の削減を行なため」としています。
「石炭の輸入を止めたため」とは口が裂けても言えないでしょうが、このような説明で寒さに震え、不便な生活を強いられている国民は納得するのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)