前回はオシレーター系INDEXの一つ「ボリンジャーバンド」について紹介しましたが、今回はその使い方についてです。面白いのは、ボリンジャー自身がその著書で述べているのと、一般にネットなどで薦められている使い方が異なっているのです。
まず、ボリンジャー自身の推奨する使い方ではなく、日本で一般的にいわれている使い方についてご紹介します。
「ボリンジャーバンド」の使い方 その1「3つのトレンドパターン」を分析
「ボリンジャーバンド」は先の記事で紹介したように、株価が平均移動線からどのように分散して推移しているかを示すものでした。バンドは「帯」「帯域」という意味で、
●株価は「68.27%」の確率で「+1σ」と「-1σ」のライン間の帯域(バンド)にある
●株価は「95.45%」の確率で「+2σ」と「-2σ」のライン間の帯域(バンド)にある
●株価は「99.73%」の確率で「+3σ」と「-3σ」のライン間の帯域(バンド)にある
というように株価が変動するレンジを示しています。
以前の記事で掲載した「ディーエヌエー」(銘柄:2432)のチャートを再度見てみましょう。
上掲のボリンジャーバンドの推移を見ると、その動きにはパターンがあることが分かります。主にボリンジャーバンドの動きから3つのパターンを抽出することが多いのですが、それは以下のようになります。
●スクイーズ(squeeze)
●エクスパンジョン(expansion)
●バンドウォーク(band walk)
片仮名ばかりでてきて覚えるのも面倒ですが、意味さえ分かっていれば別に用語は覚える必要はありせん。ここで注目しておきたいのは、ボリンジャーバンドが株価変動のトレンドを示しているということです。
それぞれのパターンについて見てみましょう。
●スクイーズ(squeeze)
squeezeは「絞る」という意味ですが、ボリンジャーバンドがぎゅっと絞られるトレンドを形勢することがあり、その部分をこう呼びます。「スクイーズ」の部分では、値動きがそれほど大きくなく、株価の振幅は小幅です。
●エクスパンジョン(expansion)
expansionは「拡散」という意味ですが、株価の変動が拡大するトレンドにあるとこのパターンとなります。当然ですが、株価が上昇して大きく変動する場合、株価が大きく下落して変動する場合があります。
●バンドウォーク(band walk)
band walkは「ボリンジャーバンドに沿って歩く」という意味で、特に±2σのラインに沿って株価が動いている場合にこう呼びます。こちらも上昇するバンドウォークと下降するバンドウォークがあります。
株価の変動は「スクイーズ」「エクスパンジョン」の繰り返しです。エクスパンジョンとなってその動きが「バンドウォーク」であればそのトレンドは強い、と判断されます。
さて、これらの分析をどう使うかですが、「±2σのライン、およびバンド(帯域)」を用います。「バンドウォーク」は強いトレンドですが、そのトレンドには「上昇」と「下落」の二つがありますね。それぞれのトレンドで、
●バンドウォークの「上昇トレンド」の中
株価の変動が「+2σ」のラインを超えたら「売り」
●バンドウォークの「下落トレンド」の中
株価の変動が「-2σ」のラインを超えたら「買い」
と判断します。なぜでしょうか?
これまで説明したとおり「±2σ」のラインは、そのバンド(帯域)内に「95.45%」の確率で株価がそこに落ちることを示しています。つまり、その外側(+ならラインの上、マイナスならラインの下)に株価がはみ出るということは、その確率外のことが起こっているわけで、いわば異常事態です。
ですから、
●バンドウォークの状態で、「+2σ」のラインの上に株価がはみ出た場合は「買われ過ぎ」を示すと判断できますから、この後は「下落」に転じると想定でき、すなわち「売りタイミング」です。
●バンドウォークの状態で、「-2σ」のラインの上に株価がはみ出た場合は「売られ過ぎ」を示すと判断できますから、この後は「上昇」に転じると想定でき、すなわち「買いタイミング」です。
となるわけです。
ただし「ボリンジャーバンドも物差しの一つ」であることを忘れないでください。ボリンジャーバンドは有力なINDEXの一つですが、これだけでトレンドを判断することは危険です。他のINDEXと併用することを忘れないでください。考案者であるボリンジャー自身はどのような使い方を推奨しているのか、については別記事でご紹介しましょう。
(高橋モータース@dcp)